【動画あり】すっきりわかる振戦まとめ その2 〜症候による分類〜

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振戦は症候と病態を混同しやすい。このページでは症候から分類した振戦についてまとめる。

症候から分類した振戦(tremor)

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安静時、姿勢時、運動時の3種類がある

振戦は最も強く出現する状況から、安静時と動作時(非安静時)に大別される。さらに、動作時振戦は姿勢時振戦、運動時振戦に分けられる。そして、企図振戦は症候から見た振戦で、運動時振戦に含まれる。

最も強く出る状況から分類した振戦
安静時振戦 Parkinson病など
動作時振戦 姿勢時振戦 本態性振戦など
運動時振戦 小脳障害、本態性振戦など

安静時振戦 (resting tremor )

代表疾患はParkinson病。手を膝の上に置いて,リラックスした状態が最も出現しやすい。安静時(じっとしている時)にのみ出現するが、動作時に消失する。責任病巣は主として、大脳基底核と推定される。

  • 主に四肢に出現する
  • 左右差があり
  • 下顎にも出現する
  • 5~7Hzの中等度の速さである
  • 精神的緊張(会話、計算)で増強する
  • 睡眠で消失する
  • 動作時は消失する  = コップの水は飲める

中等度の速さである

振幅と周期は"視診での印象"をつかむ上で重要で、Parkinson病に見られる振戦は比較的遅く(5~7Hz 前後)で粗大(coarse tremor)であるのに対し、本態性振戦などでみられる振戦は速く(10~12Hz)で、微細(fine tremor)である。

下顎の振戦はウサギの口のよう

下顎に振戦が出ると「口が(´~`)モゴモゴモゴ」となる。ウサギの口のように絶え間なく「ヒクヒクモゴモゴ」している。これは顎関節が動いていることを示唆する。

手をすり合わせるようなpill-rolling tremor

手指にでると指をすり合わせるような動きになる。pill(錠剤)をrolling(転がす)ような振戦である。

 姿勢時振戦(postural tremor)

保持したときにでる振戦

ある一定の姿勢や肢位を保とうとして筋を緊張させたときに出現する。

原因は本態性振戦(原因不明、明らかな神経系の異常、アルコール性でもない。家族性である場合もある)が多い。他の原因として、甲状腺機能亢進症、βブロッカーの使用がある。

  • 上肢、首に好発する
  • 7~11Hzの速い振戦である
  • 精神的緊張(会話、計算)で増強しない
  • アルコールで増強
  • 反抗運動が見られる

Barre肢位- 手のひらを下にした「まえならえ」をしてもらう

手のひらを下にして両手を前にピンと伸ばし水平を保ってもらう。小学校でやる「まえならえ」で手のひらを下にした状態、これをBarre(バレー)肢位といい、キープさせると震えが誘発されやすい。

胸の前で人差し指を付きあわせて保持させる

姿勢時振戦の観察法として、両示指を胸の前で向かい合わせ、わずかに離して保持するがある。※企図振戦の決闘者徴候と混同しないように。決闘者徴候はコチラ

運動時振戦(kinetic tremor)

原因として、本態性振戦、小脳障害がある。

運動中の起こる振戦の代表は小脳性振戦とされている。この振戦は時に小脳疾患や脳血管障害などでみられる。運動失調による動揺と混同しやすいが、振戦と区別する。

姿勢時振戦と運動時振戦は混在することもある

動作時振戦は、一定の肢位を保つときに(物を保持した時)に出現する姿勢時振戦、随意的な運動時(物を取ろうとした時)に出現する運動時振戦に分けられると書いたが、両者は混在することもある。

コップもったら止む

鑑別点として、目標物に達した際、停止するものが運動時振戦が主体で、目標物に達しても震えが激しい場合は姿勢時振戦が主体である。

企図振戦(intension tremor)

企図振戦は主に小脳失調である

運動時振戦の中でも、動作のはじめや、手や足を目標に近づけようとしたときに生じる、不規則で速い震えのことである。指先を鼻につけることが困難になる。

決闘者徴候

高度な例では、示指を左右から合わせるように指示すると、まるでフェンシングしているかのように指が回転し激しくふるえるため、決闘者徴候とも呼ばれる。※姿勢時振戦に戻る

測定障害、分解障害も合わせてみる

小脳の機能に、距離を適切に測る機能がある。リモコンを取るとき、小脳が距離を計算しているからパッと手を伸ばして難なく取れる。

運動時振戦は小脳の障害が責任病巣として推定されるので、測定・分解能を評価するため指鼻試験を行う。

測定障害

うまく距離が離れないと、検者の指を通り越してしまう。

分解障害

分解障害は最短距離がわからない状態である。適切にベクトルを分解できないために、フラフラと寄り道をしてようやく検者の指に到達する。

これらの所見が認められれば、更に小脳の障害の疑いが強まる。

指鼻試験は振戦の評価法として重要である

姿勢時、運動時、企図振戦を評価する

指鼻試験は失調の検査だけでなく、振戦の評価につかえる。

示指が鼻先に着くまでは震えがなく、鼻先で指を保持したときに振戦が出現すれば姿勢時振戦が疑われる。

鼻先に着くまでの間、振戦が出現し、鼻先に示指がつくと震えが止まれば運動時振戦が疑われる。

鼻先につけようとしても、激しく震えてつけられず、頬についたりフラフラ周囲をさまよっていれば企図振戦が疑われる。

症候から分類した振戦
  • 安静時、姿勢時、運動時の3種類がある
  • 安静時振戦はParkinson病に特徴的
  • 保持したときに出現するのが姿勢時振戦
  • つかもうとするときに出現するのが運動時振戦
  • 企図振戦は運動時振戦に含まれ、高度な例では決闘者徴候を認める
  • 指鼻試験は振戦の評価に使える

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