てんかんをマスターする【前編】- 定義、ポイント、痙攣との区別

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

てんかんはわかりやすいようで、混同しやすい疾患である。「意識消失して泡吹いて痙攣」している人をみれば、『てんかん』と決めつけてしまっている人もいるのではないだろうか。このページでは、混同しやすい"けいれん"を同時に学ぶ。

てんかんの分類、治療は後編で

疫学

  • 有病率は人口100 〜 200人に1人(0.5%~1%)
  • どの年齢でも生じるが、小児と高齢者に多い

しっかりおさえたいてんかんの定義とポイント

スポンサーリンク

定義

まず、定義をしっかりおさえよう。定義は診断につながる。

てんかん(Epilepsy)とは、

大脳皮質の神経細胞の過剰興奮によって起こる、けいれんなどの発作症状を繰り返す慢性疾患。1回のみの発作や、脳波異常のみで臨床症状を欠く場合は"てんかん"と診断しない。

ポイント

これまで同様の発作があったか-「今回が初めての発作ですか?」

定義で「慢性疾患」とあるように、1回の発作では"てんかん"とは診断できない。したがって、病歴の聴取が大切である。

→「今回が初めての発作ですか?」

答えがYesでも、本人が気づいていないだけの可能性がある。後述するが、突然の瞬間的な筋収縮である"ミオクローヌス発作"もてんかん発作の一種(大脳皮質の過剰興奮→ビクンッ)であり、このミオクローヌス発作が"初発のてんかん発作"を示唆する場合がある。従って、疑った場合は上に加えて

→「朝方、ピクピクしませんか?」

と聴くと親切かもしれない。人は「気を失ってない、ガクガク痙攣していない = てんかん発作ではない」と思っているものと考える。また、家族や目撃者にも既往や発作時の状況を聴取することが大切である。

私もピクピクすることよくあるよ!という方もいらっしゃるかもしれない。ミオクローヌスの代表的なものは、しゃっくり(吃逆)である。このことからわかるように、正常な人でもミオクローヌスは少なからず見られる。てんかん発作による症候(大脳皮質が過剰興奮した結果)としてミオクローヌスを呈した場合、"ミオクローヌス発作"という。

脳波異常があるか

何度もくどいが、てんかんは"大脳皮質の過剰興奮" が不可欠である。裏を返せば、脳波を測定して脳波異常の所見を呈することが"てんかん"の診断に必要である。イメージしてほしい、脳波はありふれた検査だろうか?そうではないだろう。てんかんの診断に至るためには、後述する症候性けいれん、つまり他に原因があるものを除外して、その上で"てんかん"を疑う場合に脳波検査を施行する。発作症状の病歴と見合う脳波所見が認められれば確定診断とする。のこのイメージを持つだけで、「意識消失+けいれん = てんかん」と決めつけるのは早いとわかる。

混同しやすい"けいれん"と"てんかん"

けいれん = てんかん ではない

痙攣とは、発作的に起きる不随意な骨格筋の収縮のこと。痙攣のうち、大脳皮質ニューロンの過剰興奮(てんかん発射)がもとで繰り返し起こるものはてんかんに含む。てんかん発作中は、意識、感情、感覚、運動機能のいずれかが異常になるが、特に運動発作を呈した場合が、"てんかん性けいれん"である(簡単に言えば、てんかんが原因でけいれんが起こったもの)。

イメージ

けいれんの原因には、てんかんと症候性痙攣がある

ここで痙攣の原因をみていく。てんかんは別のページでまとめるので今回は症候性痙攣をみていく。

<痙攣の原因>
てんかん 部分発作

全般発作

症候性痙攣 中枢性疾患 脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷、脳炎、髄膜炎など
全身性疾患 低酸素血症、低血糖、

内分泌疾患(Addison病、副甲状腺機能亢進症など)、

電解質異常(低Na・Ca・Mg血症、脱水など)、

ビタミンB6欠乏、中毒、アルコール離断など

その他 熱性けいれん(高熱を伴う乳幼児)、子癇(妊婦、褥婦)、ヒステリー

症候性痙攣は原因がある

何か原因疾患があって痙攣をきたすものの総称である。症候性痙攣は、書によっては、『症候性てんかん』と表記してあることもある。これはどういうことだろうか?例えば、脳腫瘍が下地となり、脳が障害された結果、てんかん発火が生じ、痙攣を生じるというものである。イメージできるだろうか。

<イメージ>高齢の方が、人生で初めて痙攣を生じた。頭蓋内を調べてみると占拠性病変がみつかった。(症候性痙攣)

『症候性てんかん』という用語は私にはかえって混乱するので、成書にならい症候性痙攣とする。このことは、うらを返せば、分類上では純粋なてんかんにはこれといった原因がない(特発性)と捉えられる。

<イメージ>若者でこれといった原因はないけれど、てんかん発作を生じる(てんかん)

また低酸素血症による痙攣は、心肺蘇生後にみれらる(心停止後症候群)。

検査

痙攣の原因がわかったら、てんかんと決めつける前に何か出来る検査はないか考えてみよう。

  • 血糖
  • 血ガス
  • 電解質
  • 肝・腎機能
  • アンモニア

などが挙げられる。検査の前に、注目すべきポイントは何だろうか?

若年発症の痙攣の原因は"てんかん"が多い

けいれんとセットで見るべきは年齢である。

若年発症の痙攣の大部分は"てんかん"である。一方、成人発症では症候性の頻度が高くなる。乳児なのか?妊婦なのか?成人なのか?若年者なのか?症候性であれば、その原因をつきとめる必要があるし、これといった原因がなく"てんかん"が疑わしければ脳波をとって診断をつけ、予防できるように治療していくのが良い。

※今回は紹介できなかったが小児のてんかんの一つに点頭てんかんがある。West症候群をご覧頂きたい。

まとめ

てんかん・けいれんまとめ
  • てんかんは大脳皮質ニューロンの過剰興奮によって起こる
  • 診断には、反復性の発作に加え脳波異常が必要
  • けいれんの原因にはてんかん、症候性痙攣がある
  • 年齢とセットで原因考える
  • 若年発症の痙攣の大部分はてんかんである

てんかんをマスターする【後編】はこちら、分類・治療をみていきます。

臨床実習の傍ら、Webサービスを運営している医学生。将来の夢は学校をつくること。琴線を記録するサービス kotonohaを製作しました。(俺、この戦争が終わったらスタートアップするんだ...)
BUMP OF CHICKEN が大好き
bot作りました→といえばbot
botは知識の整理に超有用です。twitter開く度に復習出来ます。
その他111回受験生オススメbot→こちら
Test
気に入っていただけたらシェアお願いします
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です