ウェルニッケ脳症とビタミンB1欠乏症(脚気)は区別しよう
症状の違い
ウェルニッケ脳症(Wernicke's encephalopathy)は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって起こる急性に発症する脳症のこと。
同じビタミンB1の欠乏によって引き起こる疾患として、脚気(beriberi)がある。
中枢神経症状を呈するのがウェルニッケ脳症で、心不全、末梢神経症状を呈するのが脚気である。
<脚気>
ポリニューロパチー | 感覚・運動神経障害
腱反射減弱 |
脚気心 | 心肥大
頻脈 高拍出性心不全 浮腫 |
<Wernicke脳症>
眼球運動障害、失調性歩行、意識障害、水平性眼振
脚気は現代でも珍しくない疾患である
脚気は主に大正期から戦後にかけて多数の死亡者を出す国民病として恐れられていたが、後に戦時中に脚気が流行したのは白米食の奨励が原因とわかった。原因がわかり適切な食生活をとることで現代では患者数は激減している(しかし、若い女性などで過度なダイエットをする人が脚気に罹患することはあり、現代でも珍しくない疾患である)。おなじビタミンB1欠乏症であるが、症状も異なることからウェルニッケ脳症とビタミンB1欠乏症(脚気)と区別したほうが良いだろう