腎臓は尿を作るところじゃないの!?
そうだね。老廃物や毒素を尿として体外に排出したり、必要な電解質を再吸収したりして恒常性を保つ重要な臓器だね。腎臓は尿以外にも内分泌器官として他のところに働きかけて色々な作用をしてるんだ!
内分泌器官としての働きを知れば、様々な疾患の病態が理解できます。
- レニン
- エリスロポエチン
- ビタミンDの活性化
- アンジオテンシノーゲン
などあります。(レニンは血圧をあげるRA/RAA系のトリガーになる酵素、エリスロポエチンは赤血球の産生を促進するホルモン、活性型ビタミンDは血中のCa濃度を高める作用、アンジオテンシノーゲンはレニンによって分解されるRA/RAA系の材料になるものです。)
このページではレニンについて勉強します。
目次
レニン-血圧をあげるRA/RAA系のトリガーになる酵素
血圧の監視役 JG cellから分泌される
レニンは、腎臓の傍糸球体細胞(JG cell)から分泌される酵素で血圧の調節に関わります。かの有名なRA,RAA系のトリガーになるホルモンですね。JG cellは輸入細動脈に存在し、糸球体に流入する血流を監視しています。
レニン分泌が促進される因子
- 輸入細動脈の灌流圧の低下
- 低Cl刺激(遠位尿細管緻密斑領域のCl-濃度の低下)
- 交感神経活性化
があります。
血圧の低下、血流量の低下を感知するとレニンが分泌されるのは理解できるでしょう。交感神経刺激とは、例えばJG cellはβ1受容体を持っているので、立位になると刺激されレニン分泌がアップします。
RA系とRAA系
<RAA系>
レニンはアンジオテンシノーゲンを分解し、アンジオテンシンⅠ を合成します。アンジオテンシンⅠ はACEによってアンジオテンシンⅡ(ANG Ⅱ)に変換されます。ANG Ⅱは副腎皮質に作用し、アルドステロンを分泌させます。アルドステロンは集合管、遠位尿細管に作用し、Na+/K+ATPaseを介し、Na+を取り込み血圧上昇に作用します。これをレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)といいます。
<RA系>
RA系はANGⅡ までの作用に着目した言い方です。ANG Ⅱ の作用の一つに血圧上昇作用があります。
血圧をあげるのはアルドステロンだけじゃないんだね
原発性アルドステロン症(PA)とレニン
せっかくレニンを勉強したのでPA: primary aldosteronism も一緒に勉強しましょう。
レニンはRA系/RAA系のトリガーになる酵素でした。
では、副腎皮質が腺腫や過形成し、アルドステロンが過剰に分泌される疾患の原発性アルドステロン症ではレニンはどうなるでしょうか?
通常はアルドステロン分泌はレニンに支配されているので相関関係にあるはずです。しかし、原発性アルドステロン症ではレニンはアルドステロンにネガティブフィードバックを受けるので、血症レニン活性は低下します。血漿レニン活性(PRA)が下がっているのに血漿アルドステロン濃度は上昇する(解離)。この解離を評価するcut off値にアルドステロン/レニン比があります。値は200倍です。言い換えると
ということで、これはスクリーニングに使われています。
降圧薬とレニン
β受容体遮断薬はレニン分泌を低下させますが、ACE-Iではレニン分泌が促進されます。
レニン分泌の刺激としてのβ1刺激を抑えればレニン分泌は低下するし、RAA系が阻害されればネガティブフィードバックでレニン分泌が亢進するんだね!