不育症とは
不育症とは、妊娠はするが流産・死産を繰り返して生児が得られないものをいう。
妊娠とは、受精卵が着床したかどうかの確認できるかどうか、つまり超音波で胎嚢(GS)を確認できるかどうかであり、GSを確認して初めて妊娠(着床)していると臨床的に診断できる。
不育症と不妊症の違い
妊娠の詳しい定義をおさらいすると
不育症 | 不妊症 | |
超音波で胎嚢が | 確認できる | 確認されない |
となる。不育症は妊娠に至ってからの問題、不妊症は妊娠するまでの問題。
反復流産、習慣流産は不育症に含まれ不妊症ではない
反復流産とは2回以上流産が連続するもの、習慣流産は3回以上連続するものである。明確な定義はないが、2回以上の流産、または死産の既往があれば不育症として扱われることが多い。
自然流産は珍しいものではない
自然流産(人工流産ではないもの)は一回の妊娠あたり10%〜15%(7〜10人に1人)と言われている。自然流産は一定の頻度で起こるものであり病的なものではない。
流産に至る原因で有名なのが胎児染色体異常で、発育の途中で流産にいたる。これはほとんどの染色体異常においては生命の存続が不可能だから。
keywordは流産・死産を繰り返すかどうか
自然流産が生理的なものではあるといえ、連続して繰り返す場合は偶然ではなく何かしらの原因があるのではないかと考える。(それが不育症の考え)
<自然流産を繰り返す確率>
理論上の確率 | 実際の頻度 | |
1回目 | 10 ~ 15% | 10~15% |
2回目 | 1% ~ 2.5% | 4.2% |
3回目 | 0.1% ~ 0.34% | 0.88% |
理論上の頻度よりも実際の頻度が多くなっている。
不育症の原因
母体因子、母児関連因子、夫婦由来因子に大きくわけられる。
母体因子・母児関連因子
母体因子・母児関連因子は妊娠維持に異常をきたした結果、流産に至る。
<母児関連因子>
血液型不適合など
<母体因子>
- 抗リン脂質抗体症候群、SLEなどの自己免疫異常
- 子宮の異常(子宮奇形、子宮筋腫、頸管無力症)
- 糖尿病、甲状腺機能異常、黄体機能不全(多嚢胞性卵巣症候群)などの内分泌異常
- 感染症
など
夫婦由来因子
- 胎児染色体異常
- 夫婦染色体均衡型転座(Robertson転座、相互転座)
胎児染色体異常は配偶子形成時の減数分裂の際に染色体異常をきたしたもの(卵子形成時に多い)である。夫婦染色体均衡型転座は夫婦のどちらかに元々染色体異常があり異常な配偶子が形成されているもの。