乳腺線維腫の特徴
線維腺腫(結合組織メインの腫瘍)なので悪性化することは稀ですが、乳癌との鑑別が求められる疾患です。
<乳腺線維腺腫の特徴>
- 20〜30歳(若い!)に好発する(乳癌は40〜60歳)
- 可動性良好
- 表面平滑
- 乳汁分泌(-)
- 基本的に経過観察
- 葉状腫瘍や充実腺管癌などの鑑別が必要ならば生検
- 悪性が否定出来ない場合は摘出
乳癌(予想される最悪な状態)を疑ってまず超音波、マンモグラフィーを行います。
乳腺線維腫の超音波では何を診る?
<超音波での所見>
- 境界明瞭
- 楕円形(ときに円形・分葉状)
- D/W比が小さい(< 0.7)
- 内部エコーは均一 or やや不均一
- 粗大な石灰化があれば診断は容易
D/W比が小さいって?
D(depth):縦
W(width):横
D/W比は「縦横比」とも表記され、乳房の低エコー腫瘤(乳癌か乳腺線維腫か)の良悪性の指標となるもので0.7が borderとなります。
エコーで見たときに「やわらかい乳腺線維腫」では0.7未満つまり横長(楕円形)になります。一方、乳癌のような悪性腫瘍のときは硬いので横に広がらず、縦長、つまりD/W比が0.7以上となります。
<まとめ D/W比<0.7 とは>
- 悪性度低そう
- 横長(楕円形)
<後方エコー>
後方エコーは組織型により様々な所見を呈します。線維腺腫は細胞や水分に富むため,本例のように後方エコーが増強することが多く、乳癌では,線維成分の多い硬癌では減弱することが多いことが対照的です。(後方エコーのみで判断できない)
<側方エコー>
腫瘤の辺縁が平滑であるときに観察されます。