乾癬(psoriasis vulgaris)は炎症角化症の一種で様々な特徴があります。
KAM線デス!!
KAM線デス
K: Kobner(ケブネル)現象
A: Auspitz現象
M: Munro微小膿瘍 (マンローと読みます)
線: PUVA療法(光線療法)
デ: 活性型ビタミンD3軟膏の外用
ス: ステロイド外用(内服は禁忌)
「KAM線デス」は乾癬のエッセンスが詰まった非常に優秀なゴロです。乾癬学習者の皆さんはまず、このゴロと次に紹介するフレーズを覚えたらこのページを訪れた意味はそれだけで十分です!
※尋常性乾癬に対して、近年TNF-α阻害薬(アダリムマブ、インフリキシマブ)の適応が始まりホットな疾患です。医学生は病理像までおさえましょう。
目次
乾癬ってどんな疾患?
このフレーズを暗記してください。乾癬にのみ使う表現です。逆に言えばそれほど皮疹が特徴的といえます。典型的なものであれば皮膚生検は確定診断に必ずしも必要ではありません。
画像1,2引用先:中島医院
乾癬は表皮細胞のturn overが短縮した疾患
正常の表皮は45日のturn overですが、乾癬では7~10日に短縮しています。
疫学
原因不明です。
男女比 2:1で日本人口の0.1%にみられます。
好発部位は頭・肘・膝です。
種類
乾癬は
- 尋常性乾癬
- 乾癬性関節炎
- 膿疱性乾癬
- 類乾癬
などの病型がありますが、尋常性乾癬が9割を占めます。
尋常性乾癬
画像で示したような典型的な乾癬です。頭、四肢伸側などに、銀白色の鱗屑を伴う扁平隆起性の紅斑が多発します。
- Kobner現象陽性
- Auspits陽性
- 爪に点状陥凹、混濁などの変化
Kobner現象は、患者の健常な皮膚に何らかの刺激(ひっかく、まさつ、日光)を与えると病変部と同様の皮疹を生じることを言います。
Auspitz現象は、鱗屑を剥離すると点状出血を生じることです。
かさぶた(痂疲)を剥がしたら血が出た
イメージとしてはその通りで、Auspitz現象と病理組織を照らし合わせてみましょう。真皮部分が角層直下まで突出したため鱗屑を剥がすと点状に出血するのです。Auspitz現象は特異的なもので、病理をみらずして乾癬の疑いを強めることができるんですね。昔の人すごい...
爪にも変化が現れます。
画像3引用先:爪乾癬
乾癬性関節炎
乾癬性関節炎は「乾癬に関節炎を伴うもの」で度々関節リウマチと誤診される疾患です。
爪の変形や爪周囲の皮膚炎を伴うことが多く、関節炎が先行するときもあります。
つまり関節炎のみを呈するときがあるってことだね
慢性の関節炎で主にDIP関節が障害されます。簡単に言うと
です。
鑑別点として、リウマチではPIP関節が好発でDIP関節が侵されることは稀です。
またリウマチでは基本的に皮疹は出現しません。したがって、皮疹の検索が重要です。
- 爪
- 頭部
- 臀裂
に皮疹がでると関節炎を伴いやすいといわれてます。臍周囲も検索します。
リウマトイド因子陰性も乾癬性関節炎の診断の根拠になりますが、絶対的なものではありません。
関節リウマチでもリウマトイド因子より抗CCP抗体が特異度が高く診断には有用でしたね。
膿疱性乾癬
突然発熱、全身倦怠感などの全身症状を伴いながら無菌性膿疱が多発します。尋常性乾癬から移行する場合もあります。
- 妊娠、感染症に続発
- 尋常性乾癬にステロイド内服
などが誘因になります。
乾癬の治療の一つはステロイド"外用"でしたね。間違えないでください。
HLA-A2が高頻度に認められます。
組織所見としては、Kogoj海綿状膿疱(有棘層上層の好中球浸潤による多房性膿疱)を認めます。
類乾癬
類乾癬は滴上類乾癬、斑状類乾癬、苔癬状粃糠疹の3型に分類され、菌状息肉症への移行に注意する必要があります。
KAM線デス
ここまで頑張った人のために、もう一度復習して終わります。
KAM線デス
K: Kobner(ケブネル)現象
A: Auspitz現象
M: Munro微小膿瘍 (マンローと読みます)
線: PUVA療法(光線療法)
デ: 活性型ビタミンD3軟膏の外用
ス: ステロイド外用(内服は禁忌)
超優秀な出来のゴロですよね
(追記)分子標的薬 セクキヌマブ
平成27年2月24日に尋常性乾癬と関節症性乾癬に対する新しい分子標的薬であるヒト型抗IL-17Aモノクローナル抗体(セクキヌマブ)が薬価収載されました。