動眼神経麻痺を認めたら、その症状・経過が大切です。症状の出方によっては背景に隠れている疾患の緊急性を推定できます。
動眼神経麻痺
動眼神経って?その働きは?
動眼神経(oculomotor nerve)は第3脳神経で、中脳から出てる神経です。外側直筋、上斜筋以外の眼筋の支配し眼球運動、上眼瞼挙上、瞳孔収縮、水晶体の厚みを調節する働きがあります。
動眼神経というと、眼球運動に目が行きがちですが動眼神経には2つの核があります。
- 動眼神経核(眼球運動を担う)
- 動眼神経副核(Edinger-Westphal 核)
※読みはエディンガーウェストファル
動眼神経副核は内眼筋(毛様体筋と瞳孔括約筋)を支配しており、副交感神経性支配します。
症状は外転・眼瞼下垂・瞳孔散大
動眼神経が障害されると、外眼筋、上眼瞼挙筋、内眼筋が障害されるため
- 外転位
- 眼瞼下垂
- 瞳孔散大
2つの神経線維の局在を知る
副は外
動眼神経麻痺といっても症状がいつも一様に出るとは限りません。むしろ疾患によっては外眼筋麻痺のみをきたしやすいものもあり、動眼神経麻痺の出方を適切に診察することで病巣を推定できることがあります。
まず、動眼神経には運動神経成分と副交感神経成分がありましたがその局在を知りましょう。
<線維の局在を知ろう!>
動眼神経の外周部には内眼筋(瞳孔の収縮)を支配する線維が
内部には外眼筋および上眼瞼挙筋を支配する線維がある
動眼神経麻痺をきたす疾患例
糖尿病のように血流障害によって動眼神経麻痺を呈する場合は中心部の線維から虚血の影響を受けるので外眼筋・上眼瞼挙筋が障害されます。
したがって、糖尿病による障害では外転位・眼瞼下垂を認め散瞳はきたしにくい(瞳孔回避)ことが特徴です。
対光反射も保たれています。症状としては複視を訴えます。
動脈瘤や腫瘍による圧迫による動眼神経麻痺の場合は
まず外側の障害である散瞳と対光反射の消失で始まり、進行すると眼球運動障害と眼瞼下垂を生じます。
このように神経成分の局在を知ることで病巣の推測につながります。