原発性アルドステロン症 でテタニーをきたす場合があります。その機序を考えてみましょう。
原発性アルドステロン症の3徴は以下のとおりになります。
- 高血圧
- 低カリウム血症
- 代謝性アルカローシス
アルドステロンの作用でNa再吸収してK排泄に働いた結果、高血圧に加え低カリウム血症をきたします。(実際には原発性アルドステロン症で低カリウム血症をきたす症例は30〜40%と言われています。)
これは暗記事項として頭に入れてほしいのですが、基本的に人体においてK+とH+は同方向に動きます。つまり低K血症のときはH+↓です。H+↓になれば代謝性アルカローシスは自明です。
(原発性アルドステロン症の3徴は暗記をするものではありません)
代謝性アルカローシスという血液がアルカリに傾いている状態では、アルカローシスを補正するため血中でアルブミンと結合していたH+が遊離します。
Alb - H+ → Alb + H+
結合相手が居なくなったアルブミンが次に結合するのが血中のfree Ca2+です。
Alb + Ca2+ → Alb - Ca2+
- アルブミンと結合しているもの
- free Ca2+として存在するもの
の2つがあり、生理的活性を持つのはfree Ca2+です。
生理活性をもつfree Ca2+ が減少するのでテタニーをきたします。
テタニーは間欠性の筋硬直のことで、下記のものが原因になります。
- 低カルシウム血症
- 低マグネシウム血症
- アルカレミア(free Ca2+ 低下による)
原発性アルドステロン症にてみられるテタニーはアルカレミアによるものです。
ちなみにテタニーは助産師手位が有名です。
<テタニーによる助産師手位>
原発性アルドステロン症でテタニーをきたす機序と同様のものに、過換気発作によるテタニーがあります。過換気により血中のCO2が低下すると呼吸性アルカローシスを来します。代謝性と呼吸性とは異なりますが、結果的にはアルカレミア(血液のpHがアルカリに傾いている状態)になるのでその後は同じです。
<おさらい>
アルカローシスを補正するために血中でアルブミンと結合していたH+が遊離します。
Alb - H+ → Alb + H+
結合相手が居なくなったアルブミンが次に結合するのが血中のfree Ca2+です。
Alb + Ca2+ → Alb - Ca2+
生理活性をもつfree Ca2+ が減少するのでテタニーをきたします。