家族性高コレステロール血症(FH familial hepercholesterolemia)は
エッセンス
FHはLDL受容体異常により、高LDL-C血症をきたす疾患で Ⅱa型高脂血症を呈します(ときにⅡb高脂血症)。ホモFHとヘテロFHが存在します。
<症状>
- 高LDL血症
- 腱黄色腫(アキレス腱の肥厚)、皮膚結節性黄色腫、若年性角膜輪
- 若年性冠動脈疾患
症状は高LDL血症に基づくものなので共通ですが、その程度・臨床像・予後が異なります。
ヘテロ | ホモ | |
血清LDL-C | 150 ~ 420 mg/dL | 500 ~ 900 mg/dL |
治療 | HMG-CoA還元酵素阻害薬 | LDLアフェレーシス |
臨床像 | 500人に一人(common disease)
ホモFHほど重篤ではないが 健常人に比べて動脈硬化性疾患の発症率が非常に高く 約70%が65歳までに死亡 |
100万人に1人
出生時より著名な高Chol血症 小児期から全身性の動脈硬化が進行 平均37歳で死亡 |
眼瞼黄色腫が認められることは多いですが、FHに特異的ではありません。また結節性黄色腫に眼瞼黄色腫は含まないので注意してください。
家族性高コレステロール血症の治療
動脈硬化疾患が好発するため早期診断および治療が必須です。食事療法(低脂肪食)を含めた生活習慣の改善に加え、以下の治療を行います。
ヘテロにはHMG-CoA阻害薬が第一選択
ヘテロは半分正常な染色体が残っているので、LDLが完全に欠損しているわけではありません。したがって、肝臓でのコレステロール合成を阻害してLDL受容体発現を促進させて血中コレステロール取り込みを促進させるHMG-CoA阻害薬(スタチン)が有効になります。
コレステロールの流入経路には合成、食事、血中があったね!
高LDL血症をきたす本疾患では作用機序から考えてもHMG-CoA阻害薬がぴったり!
ホモにはLDLアフェレーシス
LDL受容体がほぼ存在しないため、スタチンは使用しません。LDLアフェレーシスを中心に早期から治療を行います。
<LDLアフェレーシスとは>
体外循環装置を用いて血漿からLDLを除去し、浄化した血液を体内に戻す方法。選択的LDL吸着療法、二重膜濾過方法、単純血漿交換療法があります。