封入体筋炎は中高年に発症する緩徐進行性の疾患です。
多発性筋炎・皮膚筋炎と同じ、筋炎の一種ですが有効な治療法は確立されておらず難治性の疾患です。多発性筋炎・皮膚筋炎に有効なステロイドやIVIgも有効性に乏しく、あっても一時的なことが多くゆえに難治性と言われます。
封入体筋炎の症状
封入体筋炎は筋肉にリンパ球が浸潤し、筋組織の破壊を招きます。
封入体筋炎で傷害されやすい筋肉は
- 大腿四頭筋
- 手指・手首屈筋
また嚥下障害が認められ、QOLにかかわります。
通常、皮膚筋炎のように皮膚症状を認めることはありません。
それでは、大切な事項から整理していきましょう。
大腿四頭筋、手指屈筋が障害されるとどうなる?
モモは上がるが、膝が伸びない
モモは上がる(腸腰筋)が、
膝が伸びない(大腿四頭筋)
封入体筋炎の下肢の障害は大腿四頭筋に目立ちます。
大腿四頭筋は「サッカーボールを蹴る動作」にかかわる筋肉です。曲げた膝をピーンと伸ばす時に使います。したがって、椅子などから立ち上がる時不自由を感じます。
病状や患者さんの差によりますが、ここでMMT2まで低下した患者像を紹介します。
<大腿四頭筋のMMT2>
椅子に座ったまま膝を伸ばすことはできないが、ベッド上では膝の曲げ伸ばしができる。
また、階段が上りにくいと訴えます。
手指・手首屈筋が障害されるとどうなる?
手指・手首屈筋が障害されると、握力が低下しペットボトルのふたが開けられない、字が書けないなどと訴えます。
私が経験した症例では握力は両手ともに5kgです。
患者は猫の手ができません。
(※猫の手は私が勝手につけたもので、通称ではないのでご注意を)