急性糸球体腎炎とは
急性糸球体腎炎(AGN:acute glomerulonephritis)は、A群β溶血性連鎖球菌感染後1~3週間後に起こる血尿・乏尿・高血圧を主徴とする腎炎。
急性咽頭炎・急性扁桃炎が有名ですが、溶連菌が原因となる猩紅熱、丹毒なども原因になります。
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臨床経過と生検の有無
<history>
浮腫のon setが急激なのが特徴。
臨床的に急性糸球体腎炎の診断は可能で、腎生検を要することは少ない。
急性糸球体腎炎の検査所見
血尿・乏尿・高血圧
白血球が所狭しと押し寄せて激しい炎症をきたす(血尿)。糸球体内をWBCがふさいでしまうので血漿が濾過されず尿を濾しだせなくなる(乏尿→浮腫の原因)。その結果、循環血漿量の増加を生じ高血圧をきたす。
蛋白尿・浮腫は生じるが、1か月程度で消失する。
<その他>
- 血清補体価低下(CH50,C3↓)
- ASO上昇(∵ ASOは溶連菌の毒素に対する抗体価)
貧血・ネフローゼ症候群はきたさない
血尿の持続は2か月。貧血は起こさない。
蛋白尿(1ヶ月で消失)をきたすが、ネフローゼ症候群をきたすほどではない。
浮腫は細胞外液過剰によるもの
ですから慢性的な浮腫ではなく急速な眼瞼浮腫になるんですね。
治療
治療の原則は経過観察。
- 安静(血圧を安定させる)
- 保温(血圧上昇を誘発する寒冷刺激をさける)
- 低塩分低蛋白食(総カロリーは保つ!)
が大切。対症療法は必要時にのみ行います。
<対症療法>
感染症があれば溶連菌を叩くために、ペニシリン系 or セフェム系抗菌薬の投与(10日間)
高血圧に対してはCa拮抗薬
著明な乏尿、浮腫があれば減らす目的でループ利尿薬の投与