急性肺血栓塞栓症は下肢や骨盤内で形成された血栓(深部静脈血栓症)が血流に乗り、肺動脈を閉塞して起こる疾患である
急性肺血栓塞栓症の症状
3徴
- 突然の呼吸困難
- 胸痛(吸気時に増悪)
- 頻呼吸
これらはAPTEの97%に認められると言われている。ガスを交換している肺胞に向かう肺動脈が閉塞することによる換気血流不均等が本態である。
突然の呼吸困難 + 胸痛では
- 急性心筋梗塞(AMI)
- 気胸
など肺・心疾患系が鑑別に上がります。
しかしながら、特異的な症状や、検査所見は乏しいので鑑別疾患を思い浮かべながら血液検査所見を見ていきましょう。
血液検査所見
肺梗塞様の所見、血栓の所見、呼吸性アルカローシスの所見とおおまかに分けて捉えます。
- LDH↑(肺酵素の逸脱による)
- 血清ビリルビン↑(局所の溶血による)
- AST→ (AMIとの鑑別点)…※
- FDP・Dダイマー ↑
- WBC ↑
- PaO2 ↓↓、PaCO2↓、A-aDO2 ↑
<肺梗塞様の所見>
今まで血流を受けていたところが血栓により「突然」塞がれると、当然酸素が足りなくなり融解(肺梗塞)を生じ血清ビリルビン↑、逸脱酵素としてLDH↑ に至る。しかし、ASTが正常であるところが心筋梗塞との鑑別点となる。※ただし、右心不全をともなうとAST,ALTともに上昇
過換気により呼吸性アルカローシスを呈する
02を効率良く交換できないため代償的に呼吸数が増え、拡散能が高いCO2の排出が進み、PaCO2↓ を生じ呼吸性アルカローシスを呈する。
換気血流不均等による呼吸不全なので1型呼吸不全、A-aDO2の開大を認める。