レジオネラ肺炎はレジオネラ菌に感染して起きる肺炎で、急速に症状が進展し重症化する恐れのある肺炎である。
エピソード
レジオネラ菌概要
レジオネラ菌(Legionella pneumophila)は好気性のGram陰性桿菌で、土壌や河川、湖沼などに広く生息している。
高齢者や易感染性宿主での発症が多い。院外・院内両方の肺炎の原因になる。
ミスト発生環境の暴露歴と集団発生が特徴的で、具体的には
- 温泉
- 循環式浴槽水
- 水冷式空気調節設備
ヒトーヒト感染は無いとされる。
レジオネラ菌はGram染色で検出されず、βーラクタム系抗菌薬が無効であるため臨床的には非定型肺炎に分類される。
レジオネラ肺炎の経過と症状
レジオネラ肺炎は2~10日の潜伏期の後
- 発熱
- 全身倦怠感
- 頭痛
- 筋肉痛
- 湿性咳嗽
- 胸痛
- 呼吸困難
また四肢の振戦、意識混濁などの神経症状が現れることがある。
その他の症状・特徴的初見として
- 比較的徐脈
- 肝機能障害
- 下痢
- 高CK血症 ←筋肉痛とリンクさせる
- 低Na血症
重症例の所見は肺炎球菌性肺炎に類似する。これは何故だろうか↓
レジオネラ菌から考える他の非定型肺炎との違い
何度も重症化すると書いてきたが、他の非定形肺炎と違ってレジネラ菌は"やっぱり菌"なのだろう。
そもそも非定型肺炎とはβラクタム系が無効で細菌性肺炎とは異なる治療法が必要であるから、非定型肺炎として分類されている。レジオネラ菌は細胞内増殖菌であるからβラクタム系が無効であるが、症状や所見に関しては肺炎球菌性肺炎 likeなのであろう。
検査
迅速診断として尿中抗原検出キットが有用である。
肺炎球菌とレジオネラ菌は重症化する肺炎として抑えておこう。
エピソードから所見をみる
- 5日前に温泉施設に行っている(ミスト暴露歴と潜伏期間)
- 比較的徐脈(体温 39.6℃、HR76/分)
- 3日前からの発熱からの→酸素化悪く、coarse crackelesなど(肺炎様症状)
- 著名なCRP↑
- 急速な悪化
- 白血球が1万以下である
- 肝機能障害をみとめる(AST184 IU/L、ALT 230 IU//L、LD 1,020IU/L)
- 高CK血症
- 低Na血症
レジオネラ肺炎の治療
前述のとおり細胞内増殖菌であるためβラクタム系は無効である。
原則として入院し静注薬による治療を行う。
- ニューキノロン系の静注2週間
- マクロライド系の静注