すっきりわかる振戦まとめ その1〜症候による分類〜

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振戦まとめ
  • 振戦とは不随意運動の一種である
  • 不随意運動の中でも律動性のあるものが振戦である
  • 不随意運動の中でも最も頻度が多い
  • 症候による振戦と病態からみた振戦が混同しやすい

振戦

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振戦とは

振戦は不随意運動の一種である。患者さんの訴えのなかでも多い「ふるえ」を医学的に振戦という。中心軸がある振り子、メトロノームと喩えてもいいが、人体に起こる動きでイメージに近いのは足の貧乏ゆすりである。足にでるとさながら貧乏ゆすり様であるが、足だけではない。むしろ、振戦は上肢や他部位に優位に出現する。振戦は最も不随意運動の中で頻度が多く、患者さんのQOLに大きく関わる症候であるため、適切な対応が重要である。

振戦は律動的な不随意運動

これが振戦の定義である。律動性がないと振戦とはいえない。振戦は反復性のあるリズミカルな動きである。

不随意運動をみたら律動性があるか確認する

慣れないうちは、不随意運動を見たらまず振戦の鑑別をするために「律動性の有無」を見る。律動性があれば振戦である。

不随意運動の分類

律動性振戦(tremor)、ミオクローヌス
非律動性舞踏運動、バリズム、アテトーゼ、ジスキネジアなど
異常筋収縮muscle spasm、fasciculation、myokimiaなど

※補足: 異常筋収縮は非律動性であり、不随意運動の一種ではあるが「不随意収縮」と捉えるのが良い。

病態(原因)を指す振戦と症候(結果)を指す振戦

振戦とわかったら次は、どの振戦なのかを見ていく。

◯◯振戦という言葉は沢山あり、混同しがちである。これは症候(振戦がでる状況)でわけた振戦病態から命名した振戦を混同しているからだ。もっと簡略に言えば原因と結果を混同しているということだ。◯◯振戦と言われた時に、初めのうちはそれが原因を指しているのか、結果を指しているのか意識することをおすすめする。

以下に例をあげる。

1.「小脳性振戦では主として運動時振戦を生じるが、姿勢時振戦も生じることもある。上小脳脚の障害では企図振戦が生じる」

小脳の障害(原因) → 運動時振戦、姿勢時振戦、企図振戦(結果)

2.「姿勢時振戦の原因は本態性振戦である」

本態性振戦(原因) → 姿勢時振戦(結果)

3.「企図振戦は動作時振戦に含む。動作時振戦の原因は本態性振戦、小脳障害がある。」

本態性振戦 (原因)→ 動作時振戦(結果)

小脳障害(原因) → 企図振戦(結果)

ポイントは症候学から考えること

腹痛の原因が一つではないように、症候としての振戦から原因がズバリわかることは少ない。また本態性振戦のように、一つの原因から姿勢時振戦、運動時振戦両方呈することもある。これらが振戦のネーミングによる混乱に加え、振戦の理解を妨げている難しさであると思う。しかし、症候から病態を探る考え(症候学)が振戦を理解する一歩ではないかと思う。

「小脳が傷害されると企図振戦を呈する」と教科書にありがちな各論的に覚えるのではなく、「企図振戦が認められた。小脳に病変があるのではないか?他に小脳障害を測る検査をしてみよう」と症候学的に振戦を理解するべきである。

振戦を正しく診れば責任病巣がわかる

原因がひとつではないと先ほど述べたが、それでも症候としての振戦を正しく診ることができれば、責任病巣が推測できる。

安静時振戦はParkinson病に特異的である

一番わかりやすい例として、Parkinson病の4症状のひとつである安静時振戦がある。パーキンソン病は鑑別が非常に難しい。パーキンソニズムをきたす原因がたくさんあり(パーキンソン症候群という)、それらを除外する必要があるからだ。しかし、安静時振戦はパーキンソン症候群には殆ど見られない。つまり、安静時振戦(結果)はParkinson病(原因)の疑いを強める症候なのだ。

症候と原因は一対一ではない

パーキンソン病のように、「パーキンソン病であれば安静時振戦がみられる」「安静時振戦があればパーキンソン病である」という必要十分に近い関係があれば理解しやすいがそうではない。繰り返すが、一つの症候で推測される原因は複数ある。

しかし、複数の症候を合わせれば責任病巣を推測できる。姿勢時振戦が確認され「小脳障害か本態性振戦が原因ではないか?」と推測できたとして、さらに指鼻試験をして「運動分解障害、測定障害」などが観察されれば、責任病巣のひとつに小脳がある可能性は高まる。

責任病巣が他部位に及ぶ症例もあるが、複数の症候や身体所見を合わせて病巣や病態を明らかにしていく。

あくまで、振戦は症候の一つである。しかし病態の解明につながる重要な症候である。

それでははりきって、どのような振戦が症候として表れるのかみていこう。

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