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正常圧水頭症の症状について
正常圧水頭症NPHの3症状は、尿失禁、認知障害、歩行障害がある。
覚え方はN(尿)、P(頭がパー)、H(歩行障害)
正常圧水頭症(NPH normal pressure hydrocephalus)は、髄液圧が正常であるにもかかわらず、髄液が過剰に貯留しその結果水頭症を呈する。脳が圧迫された結果、歩行障害、認知症、尿失禁などの症状を呈する。
もちろんすべてが揃う必要はない。ほかの検査(頭部CT,MRIで脳室の拡大など)と合わせて診断する。
<正常圧水頭症の主症状まとめ>
歩行障害 | 小刻み歩行(よちよち)、すり足、転びやすくなる、 |
認知症状 | 1日中ボーっとしている、呼びかけに応えない(精神活動の低下) |
尿失禁 | 頻尿、尿漏れ |
これらの症状は、加齢に伴ってみられることも多く、ただの老化と思われたり、他の認知症と間違われたりすることがある。手術すれば治るにもかかわらず、見落されていることを念頭に置いて、NPHを疑ったら、除外をするべきである。
NPHの症状のうち歩行障害が初発症状として認められやすい。
足を開く逆ハの字状態で足が上がらない小刻みスリ足様歩行である。足が上がりにくいため、転倒のリスクが高まります。
NPHによる認知症は「治る認知症」
NPHの認知障害は前頭葉傷害が主体とされ、無関心・集中力低下・作業時間延長といった症状が見られる。
高齢者の特発性NPH
主に加齢による何らかの原因で髄液の流れや吸収が妨げられ、NPHを呈したものを特発性NPH(iNPH)という。特発性(ideopathic)とは原因不明という意味である。
一方で、NPHはSAH(くも膜下出血)、髄膜炎が原因で発症することがあり、原因がわかっているものは続発性NPHとされる。
NPHによる認知症は決して少なくない
特発NPHは高齢者に多いので、一般的なAlzheimerなどの進行していく認知症と思ってはいけない。認知症と診断された人の5~6%が特発性NPHであると言われており、日本全国には250万人の認知症患者がいて、その5%は12.5万となり決して少なくない病気である。
治療法は髄液シャント術、早期であればあるほど症状は改善する
髄液の流れが滞って、脳を圧迫することが原因であるので、その髄液を外へ排出してあげる髄液シャント術が治療である。
- 脳室-腹腔シャント
- 脳室-心房シャント
- 腰椎-腹腔シャント
などがある。
早期だと劇的に症状が改善するが、発病から長期間経過すると効果が小さくなる。
髄液シャント術が適応となるかの判断に髄液タップテストが有効である。タップテスト後に歩行障害や認知障害が改善する症例では髄液シャント術が有効である。
正常圧水頭症NPH まとめ
- 髄液圧が正常であるのに過剰に髄液が貯まり水頭症を呈する
- 歩行障害、認知症、尿失禁の3症状 + 高齢者 の組み合わせ
- 覚え方はN(尿)、P(頭がパー)、H(歩行障害)
- 歩行障害が初発症状として多い
- 逆ハの字型の小刻み歩行である
- 手術で治療できる「治る認知症」である
- 髄液シャント術適応の判断には髄液タップテストが有効
- くも膜下出血の慢性期合併症のひとつである