母乳と成乳の違い
時期
産褥3〜5日に出る母乳を初乳
それから移行乳になり
産褥2週間以降では成乳になる。
役割の違い
初乳と成乳の役割は異なる。
初乳:免疫力アップ
成熟乳:成長のためのエネルギー
内容物の違い
初乳
- IgA
- リンパ球
- リゾチーム
- ラクトフェリン
IgAは粘膜免疫を担う免疫グロブリンの一種である。
新生児は胎盤経由でもらったIgGを多く有しているが、その他IgAなどの免疫グロブリンのは通常ほぼ有していない(※胎内感染があればIgMが出生直後より高い場合がある)。だから
母は授乳でIgAを我が子に渡している!
生後7~8ヶ月して盛んに乳児自身から分泌されるようになるが、それでも少ないので
乳児は風邪をひきやすい!
リゾチームは最近の細胞壁の主成分を加水分解しさせる酵素で、溶解させる殺菌作用を持つ。ヒトでは涙、鼻汁、母乳に含まれている。
(上気道などの粘膜から分泌される…知識がつながります。)
ラクトフェリンは大腸菌や連鎖球菌の撃退に有利な糖蛋白。生体内の鉄の担体である「トランスフェリン」同様、鉄を奪い去ることで細菌の増殖を防ぐ。ヒトも細菌も成長には鉄は欠かせない。
一方、リンパ球について。
リンパ球が含まれていることで、ある疾患を持つ産褥婦は授乳を禁止せざるを得なくなる。
成乳
乳糖(ラクトース)が多く含まれている。エネルギー源。
色調の違い
乳糖は黄色がかっており、成乳は白色調。
引用 http://ameblo.jp/kenbijin/image-12027939715-13310329010.html
初乳と成乳の比較・まとめ
初乳 | 成乳 | |
時期 | 産褥3〜5日 | 産褥2週間以降 |
役割 | 免疫力アップ
胎便の排泄を促す |
成長の為のエネルギー源 |
内容物 | 免疫物質
(IgA、リゾチーム、ラクトフェリン) |
乳糖 |
色 | 黄色調 | 白色調 |
補足事項 | HIV,HTLV-1のキャリア母は母乳感染のリスク | 0.65kcal/g |
(補足)母乳保育の欠点
母乳保育は初乳保育で免疫力アップを狙えるのは大きな利点ではあるが、母乳保育ではビタミンKが不足しがちになる。
母乳栄養の欠点を補うために概ね生後5日目と1ヶ月後にビタミンKシロップを経口投与する。