片頭痛は血管拍動性頭痛
片頭痛(migraine)は器質的に明らかな異常のない一次性頭痛の一種で、起床時に発症しやすく片側に発作的に生じる。片頭痛は「血管拍動性頭痛」と言われ、血管が拡張して周囲の神経を圧迫することがその原因である。20代から40歳代の女性に好発し、1ヶ月に1〜2回程度繰り返される。
血管拍動性頭痛と言う通り、痛みは拍動性で「ズキンズキン」というものです。原因血管として耳介の前を通る浅側頭動脈が代表血管で、他の原因血管として後頭動脈、前篩骨動脈があります。
片頭痛は中等度〜重度の頭痛をきたすため、日常生活に支障をきたすことが多い。
具体的には「歩行や昇降などの日常動作により頭痛が増悪」します。これは診断基準にも含まれています。体動による増悪は片頭痛の重要なkeywordです。一方、緊張型頭痛は日常生活に大きな支障をきたすことはありません。
緊張型頭痛も十分辛いけどね…
多くは片側性から両側性に移行する。片頭痛の(約30%)では、頭痛発作の前に、閃輝暗点が見られる。
閃輝暗点は視野の中心が見えにくくなりキラキラとした歯車のようなものが出現し、視界の全体に広がっていく。
発作時には羞明(光過敏)が認められ、患者は暗い部屋でじっと休んでいる。
光以外にも、音や臭過敏もあり、しばしば悪心嘔吐を伴います。
発作は約30分でピークになり徐々に軽減する。
女性の場合、片頭痛は妊娠すると軽減することが知られている。また、一般に加齢とともに軽減、頻度も減少していく。
治療は血管の拡張を抑えること
片頭痛の薬には発作治療薬(リリーバー)と発作予防薬(コントローラー)がある。喘息のように、使い分けるのが一般的。
リリーバーには、トリプタン、エルゴタミンがある。トリプタンがfirst choiceで用いられ、中程度の大きさの血管を収縮させ症状を改善させる。
コントローラーはβブロッカー、カルシウム拮抗薬。徐脈、降圧作用で予防する。
トリプタンは虚血性疾患(脳梗塞、心筋梗塞など)の既往があれば禁忌。
エルゴタミンは妊娠または妊娠の可能性がある患者には子宮収縮作用、催奇形性があるため禁忌。
どこにかかれば良いのか?
神経内科?脳神経外科?悩むかもしれません。答えは、かかりつけのクリニックで大丈夫です。
片頭痛は血管の拍動が原因ですので、特別な検査は必要ありません。
血行不良が原因の緊張性頭痛を併発するなど、単に頭痛と言ってもストレスだったり様々な要因が絡んでいることもあります。そういった意味でも気兼ねなく話せるかかりつけのクリニックがあれば、まずそこで頭痛の悩みを相談し処方を受けてみてください。
頭痛は決して珍しいものではありませんが、日常に支障がでるほど辛いものです。繰り返す頭痛に「脳に異常があるのではないか?」心配になることもあるでしょう。そういった不安を取る意味でも片頭痛かもしれないと思ったら一度処方を受けてみてください。
ただし、今まで頭痛を感じたことがなかった人が「突然」頭痛を感じたり、突然バットで殴られたような激しい頭痛を感じたりしたら他の疾患の可能性がありますので、その際はただの頭痛と見くびってはいけません。
キーワードは「突然、激しい頭痛」です。そういった頭痛ならばすぐに病院に行ってください。
片頭痛の人は日常的に頭痛で悩んでいるはずです。難しい検査はありませんので、気軽に相談してくださいね。