破砕赤血球をきたす疾患の原因と鑑別

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

破砕赤血球は"機械的な溶血"によって出現します。

<破砕赤血球をきたすもの>

  • 人工弁留置換患者
  • 解離性大動脈瘤
  • 行軍ヘモグロビン尿症
  • TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)
  • HUS(溶血性尿毒症症候群)
  • DIC(播種性血管内凝固症候群)

この他にも、悪性高血圧症やKasabach-Merritt症候群(巨大血管腫→DIC,血小板減少)などがああります。

ここでさらに"便宜的に"2つにわけてみましょう。

物理的な破砕 血栓による破砕
  • 人工弁留置換患者
  • 解離性大動脈瘤
  • 行軍ヘモグロビン尿症
  • TTP(特発性血小板減少性紫斑病)
  • HUS(溶血性尿毒症症候群)
  • DIC(播種性血管内凝固症候群)
スポンサーリンク

物理的な破砕

こちらは説明は不要でしょう。弁置換術後や解離性大動脈瘤での異常な血流が生じ破砕が生じます。行軍ヘモグロビン尿症は長時間の行軍や武術などで激しく打ちつけられると生じるというものです。

えさきち
剣道をイメージすると良いのではないでしょうか?「メーーン!」(ドンッ)と足を何回も床に打ち付けていてまさに"物理的に"足裏の微小な血管を通っている赤血球を破砕してしまった結果生じるものです。

血栓による破砕

臨床において鑑別が求められるのは下記の3つです。

  • TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)
  • HUS(溶血性尿毒症症候群)
  • DIC(播種性血管内凝固症候群)
この3疾患はいずれも血栓を生じ、その血栓に赤血球がぶつかり破砕赤血球を生じるという機序です。これらは「微小血管障害性溶血性貧血」と呼ばれます。

<微小血管障害性溶血性貧血>

TTP vWF切断酵素(ADAMTS13)の活性低下により超高分子vWFが出現し、血小板血栓が多発
HUS 腸管出血性大腸菌の産生するベロ毒素→微小血管内皮障害や血小板活性化が原因となり、微小な血小板血栓が多発
DIC 悪性腫瘍や敗血症、白血病(APL)などを基礎疾患としてサイトカインや組織因子の血中濃度が上昇し、血小板や凝固因子が活性化され微小血栓が多発

基礎疾患の有無、好発年齢、精神症状の有無が鑑別ポイントになります。

よく鑑別を求められるのはTTPとHUSです。

簡単な鑑別点をお示しします。

TTP HUS
共通症状
  1. 溶血性貧血
  2. 血小板減少
  3. 腎機能障害
意識障害 (+) 重篤になれば(+)
異なる症状 発熱  上気道炎

胃腸炎

血便

好発年齢 若年女性 乳幼児
腎障害の程度 重篤

10%未満が透析へ

便検査 ベロ毒素(-)

O-157(-)

ベロ毒素(+)

O-157(+)

TTP血栓性血小板減少性紫斑病とHUS溶血性尿毒症症候群の鑑別
TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)とHUS(溶血性尿毒症症候群)は原因は異なるが、両者ともよく似た病態を示します。両者ともに血栓性微小血管障...
臨床実習の傍ら、Webサービスを運営している医学生。将来の夢は学校をつくること。琴線を記録するサービス kotonohaを製作しました。(俺、この戦争が終わったらスタートアップするんだ...)
BUMP OF CHICKEN が大好き
bot作りました→といえばbot
botは知識の整理に超有用です。twitter開く度に復習出来ます。
その他111回受験生オススメbot→こちら
Test
気に入っていただけたらシェアお願いします
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です