破砕赤血球は"機械的な溶血"によって出現します。
<破砕赤血球をきたすもの>
- 人工弁留置換患者
- 解離性大動脈瘤
- 行軍ヘモグロビン尿症
- TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)
- HUS(溶血性尿毒症症候群)
- DIC(播種性血管内凝固症候群)
この他にも、悪性高血圧症やKasabach-Merritt症候群(巨大血管腫→DIC,血小板減少)などがああります。
ここでさらに"便宜的に"2つにわけてみましょう。
物理的な破砕 | 血栓による破砕 |
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物理的な破砕
こちらは説明は不要でしょう。弁置換術後や解離性大動脈瘤での異常な血流が生じ破砕が生じます。行軍ヘモグロビン尿症は長時間の行軍や武術などで激しく打ちつけられると生じるというものです。
血栓による破砕
臨床において鑑別が求められるのは下記の3つです。
- TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)
- HUS(溶血性尿毒症症候群)
- DIC(播種性血管内凝固症候群)
<微小血管障害性溶血性貧血>
TTP | vWF切断酵素(ADAMTS13)の活性低下により超高分子vWFが出現し、血小板血栓が多発 |
HUS | 腸管出血性大腸菌の産生するベロ毒素→微小血管内皮障害や血小板活性化が原因となり、微小な血小板血栓が多発 |
DIC | 悪性腫瘍や敗血症、白血病(APL)などを基礎疾患としてサイトカインや組織因子の血中濃度が上昇し、血小板や凝固因子が活性化され微小血栓が多発 |
基礎疾患の有無、好発年齢、精神症状の有無が鑑別ポイントになります。
よく鑑別を求められるのはTTPとHUSです。
簡単な鑑別点をお示しします。
TTP | HUS | |
共通症状 |
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意識障害 | (+) | 重篤になれば(+) |
異なる症状 | 発熱 | 上気道炎
胃腸炎 血便 |
好発年齢 | 若年女性 | 乳幼児 |
腎障害の程度 | 重篤
10%未満が透析へ |
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便検査 | ベロ毒素(-)
O-157(-) |
ベロ毒素(+)
O-157(+) |