エッセンス
糖尿病性腎症は、糖尿病の三大合併症のひとつです。糖尿病性腎症は透析導入の原疾患の1位であり、QOL・予後に関わる重大な合併症です。したがって、その早期診断・治療が非常に重要になります。
早期診断には尿中微量アルブミンの測定が最も有用になります。また病理学的には輸入動脈・輸出細動脈の硬化、結節性病変(Kimmelstiel-Wilson lesion)が見られます。この結節性病変は糖尿病性腎症に特異的な所見です。
進行するとネフローゼ症候群を呈するようになります。(二次性ネフローゼ症候群)
高度蛋白尿を呈するまでには糖尿病罹患歴(10年以上)の長い症例が多く、症状が出始めたころには既に腎障害が進んでいます。
慢性腎不全では浮腫・高血圧・蛋白尿などの症状を認め、いずれ透析導入へと進展します。
<エコー所見>
腎臓は肥大します(通常、慢性腎不全では委縮します)
糖尿病性腎症の特徴
通常、糖尿病性腎症では蛋白尿が初発になります。
また初期には糸球体濾過量が増加します。進行に伴い濾過量が減少します。濾過率も上昇しています。
<微量アルブミン尿の定義>
24時間蓄尿で30~299 mg/日
または
随時尿で 30~299 mg/日
微量アルブミン尿は糖尿病性腎症の病気分類のうち第2期(早期腎症期)に該当する所見です。
第2期(早期腎症期)までは腎症の改善が期待できます。微量アルブミン尿を認めたときに如何に進行を抑制するかが大切で、血糖コントロール&厳格な血圧管理が重要になります。
降圧療法の第一選択はACE-I/ARBです。
これは腎保護作用を期待してるんだったね!
進行してしまったら
進行すると浮腫・高血圧を合併します。慢性腎不全の病態ですので、高K血症も伴います。腎期の低下を認める場合、降圧療法でACE-I/ARBは高K血症の危険があるため、安全なCa拮抗薬を用います。
腎機能の低下とは血清Cr ≧ 3mg を指します
糖尿病性腎症は長い期間で徐々に進行します。進行の過程で血糖コントロールが改善(インスリン必要量の減少)が認められます
え!治療の成果がでたのかな!よかったよかった!
腎不全になるとインスリンの排泄障害がおき、一過性にインスリンの必要量が減少します。つまり、これは病態が改善したのではなく進行していることを意味します。