結核tuberculosisは2類感染症に分類され、空気感染をするため感染力が強い疾患です。
症候、Xp所見、喀痰塗抹検査(Ziehl-Neelsen法)などで結核を疑った場合は診断をつけることが大切です。
結核の検査や診断に使われるものをまとめてみます。
目次
結核の検査・診断
診断の流れ
結核を疑ったら、菌体を確認します。(喀痰塗抹検査)
喀痰塗抹検査で抗酸菌陽性である場合、PCRにて結核菌と非結核性抗酸菌の鑑別を行います。
喀痰検査で菌体・感染を確認→PCRで確定診断
の流れを知りましょう。しかしながら、検査がいつもうまくいくとは限りません。そこで補助的診断で普及してきているQFT検査なども合わせて紹介します。
菌体・感染を確認する検査
菌体を確認する検査として喀痰検査を行います。
感染を確認するための検査としてツベルクリン反応検査、QFT検査があります。
喀痰塗抹検査
結核を疑ったらまず喀痰検査です。
喀痰検査には
- 塗抹検査
- 培養検査
喀痰塗抹検査は抗酸菌を検出することで、迅速に感染の有無を得ることが出来ます。
結核を疑ったら早く診断をつけたい!
しかし、喀痰の塗抹検査での抗酸菌の陽性率は高くありません。したがって、3回は検査を行い、3日連続で喀痰を採取します。
また結核か非結核性抗酸菌か区別できません。
培養検査には、MGIT法と小川培地による培養があり、
MGIT | 小川培地 |
平均検出期間2週間
検出感度が高い |
3〜4週間かかる |
ことから、MGIT法に軍配が上がります。
ツベルクリン反応検査
一般に、ツ反といわれるものです。ツベルクリン精製液を皮内注射し、遅延型アレルギー反応を見る検査で、48h〜72h後の皮膚反応を観察します。
しかしながら
- 48時間の時間を要する
- BCG接種でも陽性になる
- 過去の結核菌感染でも陽性になる
以上の理由から活動性結核の診断的意義は低いので注意です。当然ながら、結核か非結核性抗酸菌症の区別も出来ません。
いろんな条件や状況(経過や症状)を加味すれば、診断に使えないこともないですが日本ではワクチン接種の意義が大きいですね。
BCG接種の影響を受けずに、結核感染を検出する検査が次のIGRAです。
インターフェロンγ遊離測定法(IGRA)
インターフェロンγ遊離測定法(IGRA:interferon-Gamma Release Assays)は
結核菌の特異抗原により刺激された感作T細胞から産生されるIFN-γを測定して感染を診断します。インターフェロン遊離測定法の利点として、ツベルクリン反応検査と異なり、BCGの影響を受けずに結核感染を検出できる検査です。特異度は高いですが、それが過去の結核感染なのか活動性結核なのかはわかりません。
代表的な検査としてQFT検査があります。
意味合いを強める意味として、「結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法」と言うことも有ります。
ここで、一度ツベルクリン反応検査と比較しましょう。
ツ反 | IGRA | |
BCG接種の影響 | うける | うけない |
TB or non-TBの区別 | できない | できる |
IGRAの利点として、
- 1回の採血で済む
- 短時間で結果が得られる
- BCG既接種集団における特異度がツ反に比べて非常に優れている
感染と発症は別
ながらく結核菌の検査について書いてきましたが、ツベルクリン反応検査、IGRAは免疫反応の獲得や感染を示すものであって発症を示すものではありません。つまりこれらの検査で陽性 = 感染 = 絶対的に隔離処置 ではありません。
結核に感染後、発症するのは10%程度といわれ、残りは潜伏感染と言われます。半数が2年以内に発症し、発症まで数十年かかることもあります。
隔離の必要性は喀痰から結核菌が検出されるかどうかで判定します。
結核には肺結核と肺外結核があり、全体の8割は肺結核でした。肺外結核は隔離は不要です。
隔離を判断する上で大切な視点は
- 活動性の結核かどうか
- 肺結核であるかどうか(喀痰で検出されるか)
隔離の判定に有用なのは喀痰検査 ということです。
喀痰検査 | ツ反、IGRA |
肺結核の判定に有用 | 免疫反応の存在を証明 |
しかし、繰り返しますが喀痰検査のみでは結核菌か非結核性抗酸菌の区別は付きません。結核菌PCRで陽性になれば、晴れて肺結核の診断になります。
結核検査のまとめ
喀痰検査で菌体の確認(空気感染の恐れあり、ヤバイ)→結核PCRで確定診断 の流れ
肺結核なので隔離が必要。
IGRAは結核菌に対する免疫応答をみる検査(非結核性抗酸菌を否定できる)。ツ反と違いBCG接種の影響を受けないが、過去の結核感染なのか、活動性の結核感染なのかは判定できない。