脈圧とは収縮期血圧と拡張期血圧の差のことで、基準値は 40~50mmHgです。
- 高齢者高血圧(孤立性収縮期高血圧)
- 大動脈弁閉鎖不全症AR
- 動脈管開存症
- valsalva動脈瘤破裂
- 敗血症
- 甲状腺機能亢進症・甲状腺中毒症
脈圧の増大をきたす疾患の原因を以下のように分類してみましょう。
原因 | 疾患 |
動脈硬化 | 孤立性収縮期高血圧 |
逆流 | 大動脈弁閉鎖不全症
PDA valsalva動脈瘤破裂 |
末梢血管抵抗減少 | 敗血症 |
心機能亢進 | 甲状腺機能亢進症 |
ARで代表的なものに大脈・速脈があります。大脈は。触診所見で指を押し上げる脈の強さを指し、「大脈は脈圧の増大」を反映します。
速脈は脈の立ち上がりと消失が速い脈のことで、その背景には拍出血流の逆流があります。
速脈をきたす疾患は基本的に大脈をきたします。逆流により一回拍出量が増大するからです。
<孤立性収縮期高血圧>
高齢者では動脈硬化の進行により大動脈脈波伝搬速度が速くなり、その影響を受けて収縮期血圧が高くなり、拡張期血圧が低下します→すなわち脈圧の増大
年をとるとハリが無くなり皮膚は固くなります。体中の血管も同じです。動脈はもともと弾性線維に富んでいます。
<大動脈閉鎖不全症>
大動脈弁の閉鎖が不完全なために、拡張期に大動脈から左室に血流が逆流し、左室容量負荷をきたしたもの。
- 左心不全症状(呼吸困難・動悸)
- 冠動脈血流低下による狭心痛
- 大脈・速脈
- 爪床部の毛細管拍動(Quincke's pulse)
- 脈圧の増大(SBP↑、DBP↓)
脈圧の増大ってなんだろう?何がいけないんだろう?
上のサイトに書いてあることを抜粋・編集させてもらい下に引用します。
一概にはいえないが、一般的には脈圧は小さいほうが良い。脈圧が65をこえるとあきらかに動脈硬化性の疾患が増えるというデータもあります。
ただし脈圧さえ低ければ高血圧の管理がいらないというわけではありません。ここで上の血圧と下の血圧とはなんなのか解説します。
上の血圧は左心室という全身に血液を送り出す部屋が収縮し、一回約70mlの血液を送り出しますが、この動脈内に一気にふえた血液によって作り出される圧力のピーク値を腕の動脈で測定した値です。一方下の血圧はというと、左心室は収縮した後血液をためるために拡張します。このときせっかく全身に送り出した血液が再び左心室に戻ってこないように、大動脈弁が閉じて大動脈から左心室のほうへ血液が逆流するのをふせいでいます。このとき左心室から血液は送り出されていないのですが、太い(中枢の)動脈から細い(抹消の)動脈のほうへ血液は流れ続けます。
これは何故でしょう?それは左心室が収縮して勢いよく血液を送り出すとき、大動脈やそこから枝分かれした太いレベルの血管が圧力によって太くなりますが、大動脈弁が閉じた後は新しい血液の供給がなくなるのでだんだんもとの太さに戻ろうとします。これが拡張期でも中枢から末梢へ血液を送り続ける圧、すなわち下の血圧を維持する原動力なのです。血管が柔らかければ太いレベルの動脈の太くなり方も大きくなりますから、下の血圧も維持されやすいのです。また血管が柔らかいと収縮期に左心室から送り出される血液を太いレベルの血管が拡がることによってクッションのように受け止めますから上の血圧のピークも抑えられます。
要するに脈圧が小さいということは、血管が柔らかく動脈硬化がすすんでいないことを表し、脈圧が大きいということは動脈硬化がある程度すすんでしまったことを表しているのです。そこで現在の考えでは、脈圧は一般的には小さいほうが良いという答えになるわけです
今後動脈硬化がすすむかどうかの最も大きなファクターは平均血圧です。平均血圧の求め方は
拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3
で計算されます。たとえば160/100の人の平均血圧は120、180/60の人の平均血圧は100となります。お分かりのように平均血圧は下の血圧に近いのです。平均血圧への寄与は下の血圧のほうが上の血圧よりも大きいということになります。
脈圧の小さい方は上の血圧がさほどでなくても下の血圧が高い場合があり、この時平均血圧も高くなりやすく治療が必要となることがあります。この場合は脈圧が小さくて不利になっているともいえますね。もうひとつだけ例外をあげると、高度な心不全の場合心臓が勢いよく血液を送り出せないため上の血圧があがらず脈圧が小さい、などということもあります。まとめると、
1、 脈圧が大きい人:ある程度動脈硬化がすすんでしまっている。上の血圧を目安に治療。
2、 脈圧が小さい人:まだ血管は柔らかい。ですが、平均血圧(下の血圧)が高ければ今後の動脈硬化の進展予防のため下の血圧を目安に治療。
ということになります。
コメント
動脈管開存症は、大動脈拡張期圧が肺動脈拡張期圧まで低下するため、脈圧が大きくなるそうです
Valsalva洞破裂もありました。動脈管開存症同様、動脈と静脈にシャントができることで、大動脈拡張期圧が低下するようです。
コメントありがとうございます。ご指摘の通り、追記いたしました。
おかげさまで調べて理解を深めるきっかけになりました。