水とNaの量と比を軸に考えよう!脱水症の分類とその見方

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一口に脱水症といっても、様々な見方がある。

一般に脱水症と言われて想起するのは「発汗過多による脱水」でこれは後述する高張性脱水に相当する。脱水症では、水の減少と体液の低張化に伴う血球の容積増大によりHtはやや増加する

えさきち
脱水症をきちんと理解すれば、症状の理解・輸液の理解につながりますので頑張りましょう!
  • 細胞内と細胞外(基質、血管)を忘れない
  • 血管内のバランスを見るときは水とNaを見る

血清Na濃度で分類する脱水症

脱水症は次の3つに分類される。

血清Na濃度

(mEq/l)

130 以下 低張性脱水
130~150 等張性脱水
150以上 高張性脱水
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低張、高張ってどこの何を見ている?

血管のNaと水の量・比を見ている。

えさきち
簡略化のため、血管内には水とNaが5づつ合わせて10あると想定して考えていきます。

<想定>

水:Na = 5:5 量は合わせて10、比は1:1.これを正常とする。

それぞれの脱水で水とNaの量・比はどうなってる?

"脱水"なので量は減っている。

等張性脱水は、Na濃度は正常なので水:Na = 4:4

くみちょう
比は1:1で変わらない!

低張性脱水は、Na濃度が低いので 水:Na = 5:4

高張性脱水は、Na濃度が高いので水:Na = 4:5

低張性脱水

低張性脱水では主に細胞外液が減少する

細胞外液が低張(血清Na濃度 130以下)となり、

細胞外→細胞内への水移動が起こる

細胞内液が増加すると、皮膚turgorの低下につながる。

くみちょう
脱水 = 皮膚turgor低下とばかり思ってたよ。
えさきち
皮膚turgor低下は脱水全般で見られなくはないですが、低張性脱水で顕著です

循環不全、脳浮腫が強く出る

低張性脱水は、細胞外液の減少がメインのため循環への影響が強い。

血圧は低下し、脈も弱くなる。

えさきち
脱水で一番怖いのは「低張性脱水」です。循環不全と脳浮腫のリスクが高いからです。

次に、細胞内液が増加することで脳浮腫をきたす。

低Na血症の症状に

  • 食欲低下
  • 頭痛
  • 傾眠、昏迷、昏睡
  • 悪心・嘔吐
  • けいれん
などがあるが、これらは脳浮腫による症状で、低張性脱水でも低Na血症が顕著になれば出現する。

等張性脱水

血管内の浸透圧および、Na濃度は変わらない。

  • 熱傷
  • 出血
が代表疾患。

高張性脱水

血清Na濃度が150 mEq/l 以上の脱水をいい、脱水時より

細胞内→細胞外へ水移動が起こる

ので細胞内液が主に減少する。細胞外液、つまり脱水しても細胞内液に比較して細胞外液は保たれるので、末梢循環は比較的良好。

高張性脱水をきたすのは水を喪失するケース

  • 発熱
  • 発汗過多
  • 下痢
  • 急性腎不全回復期
  • 尿崩症
などである。
えさきち
水喪失→血液濃縮→高Na血症

意識障害は

不安、興奮が強く出る。

細胞内液が減少することにより、口渇の訴えが強く、口腔粘膜の乾燥も目立つ。

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低張性脱水と高張性脱水の比較

低張性脱水 高張性脱水
Na(mEq/l)  <130 150<
体液区の変化 細胞外液↓

細胞内液↑

細胞外液↑

細胞内液↓

皮膚turgor 低下↓↓ 低下または正常
症状 <細胞外液減少による>
  • 血圧低下(起立性低血圧)
  • 頻脈
  • 脈拍微弱
<細胞内液増加による>

脳浮腫

  • 頭痛
  • 悪心嘔吐
  • けいれん
  • 意識障害

<細胞内液減少による>

  • 口渇、粘膜乾燥
  • 意識障害
  • 腱反射亢進
意識障害 傾眠→昏睡 興奮→昏睡
頭痛 (+) (-)
口渇 あまり訴えない+/- +
体温

(筋けいれんや発熱中枢異常)

張性脱水では奮と渇とが目立つ!腱反射も進!

どちらがショックに至りやすい?

どちらもショックのリスクがあるが、細胞外液の減少がメインの低張性脱水のほうが循環への影響が強く、全身の循環不全(ショック)のリスクが高い

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