脳梗塞から考える虚血と梗塞の違い

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虚血と梗塞の違い

”虚血と梗塞”も混同しやすい用語です。

虚血(ischemia)は、血流が足りず、組織の酸素需要に追いついていない状態。「酸素が足りないー!助けてー!」の状態ですね。つまり、まだ組織は生きています。一方、梗塞(infarction)は、虚血の結果、酸素や栄養が組織に十分に行き届かず酸欠に陥った組織が壊死してしまったものです。「返事がない...ただの屍のようだ」(チーン)ですね。

まだ生きていて助ける余地があるもの(助かったもの)を梗塞(死んでいる)と言うのはダメだと直感的にわかるでしょう。

脳梗塞で脳の一部が壊死してしまうと二度と完全には戻らないことはご存知でしょう。しかし、脳梗塞の中には治せる脳梗塞が有ります。

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治せる脳梗塞って?

虚血の延長線上に梗塞はあります。例えば、科学的には

TIA( transient ischemic attack 一過性脳虚血発作)を起こした患者は、後に脳梗塞(cerebral infarction)を発症するリスクが高いと言われています。

これは非常に意義があることです。脳梗塞が起こると予測できれば、しばらく入院させて経過観察することや帰宅させる場合でも患者さんに教育することが出来ます。そうすれば、実際に脳梗塞が起こった場合、rt-PAや血管内治療などを施し、後遺症を残さずに脳梗塞を治すことが出来る可能性があります。

「血管内治療をすれば、脳梗塞で腕が全く動かなかった患者が嘘のように回復する」

と医師の先生が教えてくれました。

梗塞の意味が間違っているのでは?と思った方もいるかもしれません。本来、脳梗塞を発症すれば虚血に弱い脳はすぐに死んでしまい、不可逆な後遺症を残すものです。しかし、医療の進歩により脳梗塞を発症しても早く発見し治療できれば後遺症を残さずに、元の生活を送れるケースも出てきました。つまり、後遺症がない = 脳は死んでいない ので、本来の梗塞ではない わけですが、虚血の延長線上に梗塞があることを考えれば納得はいきますよね。

脳梗塞を発症した直後はまだ脳細胞は生きていて、酸素が欠乏していく過程でどんどん死んでいくわけです。死ぬ前に、治療ができれば結果的に「脳梗塞に至らず治すことができた!」という患者さん医療者側にとってもハッピーな結末を迎えることが出来ます。

ここまで知っていると「脳梗塞を見落とさないこと、早期発見すること」これらが大切な理由がわかると思います。

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