腎臓は尿を作るところじゃないの!?
そうだね。老廃物や毒素を尿として体外に排出したり、必要な電解質を再吸収したりして恒常性を保つ重要な臓器だね。腎臓は尿以外にも内分泌器官として他のところに働きかけて色々な作用をしてるんだ!
内分泌器官としての働きを知れば、様々な疾患の病態が理解できます。
働きを理解する上で知っておくべきものが下記のものです。
- レニン
- エリスロポエチン
- ビタミンDの活性化
- アンジオテンシノーゲン
(活性型ビタミンDは血中のCa濃度を高める作用があります)
このページではビタミンD活性化/作用について勉強します。
ビタミンDについて
ビタミンDは脂溶性ビタミンです。
DEKA が脂溶性ビタミンだったね
ビタミンDにはビタミンD2とビタミンD3があります。ヒトにおける明確な作用の差はわかってはいませんが、製剤として作られているのはビタミンD3です。
活性型ビタミンDの作用
ビタミンDは肝臓、腎臓で活性化されCa、Pなどの調節を行います。ビタミンDを直接活性型に変換するのは近位尿細管に存在する1α-水酸化酵素です。
<活性型ビタミンDの作用>
- 小腸からのCa、Pの吸収を促進
- 骨吸収・骨形成ともに促進し、骨代謝を高める
- 遠位尿細管でのPTHのCa,P再吸収作用と高める
- PTHの分泌を抑制する(Ca濃度上昇のネガティブフィードバックとなるから間接的に抑制)
Ca濃度を保つために重要なのですね
慢性腎不全とビタミンD
慢性腎不全になると活性型ビタミンDの産生が低下します。ビタミンDが欠乏すると低Ca血症をきたします。また糸球体濾過量(GFR)が低下することにより、Pの排泄が不十分になり、高P血症をきたします。
そうだね!基準値を見てみようか。
高いグループ | 低いグループ |
Na 140前後
Cl 100前後 Ca 8.5~10 |
K 4前後
P 2.5~4.5 |
ざっくりと基準値が低いグループが慢性腎不全では高くなると覚えるのもありだ。体に適正な濃度があるから"絶対値の高い低い"の問題ではないんだけれどね。でもNaとKの3の違いじゃ全然違うよね?高K血症は致死的な不整脈につながるし、元々低い電解質は腎臓の調節が馬鹿になってしまうと命に関わるって考えれば腎臓のありがたみが分かるかも。
(なげぇ…)
しかし、慢性腎不全の患者がいつも低Ca血症をきたすとは限りません。
え?
低Ca血症、高P血症…これらによってフィードバックを受けるホルモン、それはCa代謝では忘れてはならない副甲状腺ホルモンです。
PTH(副甲状腺ホルモン)とCa濃度はフィードバックの関係でしたね。

二次性副甲状腺機能亢進症
PTHは逆さCaP!
PTHはCa↑、P↓の作用です。腎不全の患者は低Ca、高P血症をきたすのでPTHの分泌が促進され二次性副甲状腺機能亢進症をきたします。しかし、PTHが効き過ぎると高Ca血症に傾いたり、骨吸収亢進が行き過ぎて線維性骨炎を起こしたりします。慢性腎不全によって様々な骨ミネラル代謝異常をきたします。
- 異所性石灰化
- 線維性骨炎
- 骨軟化症
- 無形成骨症
慢性腎不全の患者さんが必ずしも低Ca血症をきたさないのはおわかりいただけたでしょう。
活性型ビタミンDの作用と、それらが不足したらどうなるかを見ていきました。Ca代謝に関わるものはビタミンDだけではないので、この機会にPTH、カルシトニンなどを復習されては如何でしょうか。