薬剤性過敏症症候群とは?
薬剤性過敏症症候群(DIHS)は、重症薬疹のひとつで、数週間~数か月後に伝染性単核球症様皮疹を生じるもの。
特徴としては
- 遅発性であること(数週間から数か月後)
- 原因薬剤が限られていること
- 原因薬物中止後も症状が持続・増悪すること
である
薬剤性過敏症症候群の原因薬剤
- 抗けいれん薬(カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミドなど)
- アロプリノール
- ミノサイクリン
- サラゾスルファピリジン
- メキシレチン
- DDS
- ジルチアぜム
症状
発熱、リンパ節腫脹、肝障害、白血球増多などの全身症状を呈する。
皮疹は、伝染性単核球症のような急速に拡大する紅斑を呈する。
原因薬剤中止後も症状は持続・増悪することが多い。
薬物アレルギーに加えてHHV-6の再活性化を伴う
human herpes virus-6の再活性化を伴うので、特徴的な皮疹、薬剤停止後も症状の持続・増悪が見られると考えられている。
治療
原因薬物の中止と副腎皮質ステロイドの全身投与
医師国家試験での薬剤過敏性症候群
【107A25】
53歳の男性.発熱と全身の皮疹とを主訴に来院した.脳腫瘍術後に出現したてんかんに対し1ヵ月前からカルバマゼピン内服を開始した.2日前から顔面と頸部とに紅斑が出現し,全身に拡大した.発熱もみられたため受診した.体温38.5℃.頸部リンパ節腫脹を認める.全身に紅斑を認める.口腔粘膜に異常を認めない.血液所見:赤血球420万,Hb 13.5g/dL,Ht 41%,白血球12,300(好中球59%,好酸球15%,好塩基球1%,単球7%,リンパ球11%,異型リンパ球7%),血小板13万.血液生化学所見:AST 88IU/L,ALT 91IU/L,LD 425IU/L(基準176~353).CRP 3.3mg/dL.胸腹部の写真を次に示す.なお,初診時に比べ,4週後の再診時には抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価の有意な上昇を認める.
- 1ヵ月前からカルバマゼピン内服→遅発性の薬疹を疑う
- 全身の皮疹→中毒疹か
- 口腔粘膜に異常を認めない→重症薬疹Stevens-Johnson症候群ではない
- リンパ節腫脹→網内系活性化
- 白血球12,300(好酸球15%)→好酸球増多により薬疹を疑う
- 異型リンパ球の出現
- AST 88IU/L,ALT 91IU/L→肝機能障害あり
- 抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価上昇→薬剤性過敏症症候群を示唆
コメント
参考になります。
個人的には、伝染性単核球症のように異型リンパ球が出現する点が印象的ですね。