起立性低血圧は、安静臥床した状態から起立させ3分以内に血圧の低下がみられるものをいいます。
血圧の低下とは、収縮期血圧(SBP)で 20 mmHg以上、拡張期血圧(DBP)で 10 mmHg以上の低下を認めるものです。
立ちくらみを経験されたかたは多いと思いますが、あれはなぜ起こるのかというとシンプルに言えば脳の血流が不足しているだけです。立ちくらみのような起立直後の低血圧は、横になった状態から急に立つことで重力によって多くの血液が下肢に溜まり、脳が虚血におちいってふらつきます。
(お風呂でなぜ立ちくらみが生じやすいか考えたらいっそう理解が深まると思います)
脳はとても虚血(酸素の欠乏)に弱い臓器です。失神(一瞬意識を失って倒れてすぐ回復)も脳に血液がいかずスイッチオフしてしまうことが原因のひとつです。
起立性低血圧というと、その名称から立ちくらみを想起してしまいますが、起立直後の立ちくらみだけではありません。
正常では、血圧の低下を感知した圧受容体が血管を収縮させ血圧を正常に保ちます。しかし、この血管を適切に収縮できなくなると、起立性低血圧を生じます。
起立性低血圧の定義でも
安静臥床した状態から起立させ3分以内に血圧の低下と書きましたが、起立してしばらくたっても正常血圧から低下している状態は異常でなんらかの原因があります。
たとえば、糖尿病性ニューロパチーのような末梢神経障害をきたすような疾患です。
起立性低血圧の有無を調べる試験として、シェロング起立試験(Schellong test)、ティルト試験(headup-tilt test)があります。シェロング起立試験は外来でできる簡便な検出法です。
起立性低血圧が認められるということはほかの自律神経障害、末梢神経障害も隠れている可能性があります。
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コメント
迷走神経反射も起立負荷で起こるので、迷走神経反射と起立性低血圧がごちゃごちゃになったことがあります。前者は心拍数が下がり、後者は心拍数が上がるという違いがあるみたいですね。
くらじゃいるさんコメントありがとうございます。
迷走神経反射も起立負荷で生じるのですね。自律神経の評価に使うシェロング試験を行う際に血圧の下がり幅だけでなく代償性の心拍数増加は生じているかをチェックしたことを覚えています。
起立性低血圧では代償性に心拍数は増加するけども、末梢血管の収縮が不十分でフラッとしてしまうイメージですかね。
貴重なコメントありがとうざいます。