プロポフォール (propofol 商品名ディプリバン)は全身麻酔の導入に使用されます。
脂溶性で白い牛乳のように白濁しています。
プロポフォール(商品名:ディプリバン)の特徴として、作用発現が速く、持続時間が短いことが挙げられます。拮抗薬はありません。(必要ないくらい覚醒の質がよいから開発されないといってもよいかもしれません)
肝代謝が速いため、覚醒の質は良く、蓄積しない持続注入が可能になります。手術を中で見たらわかりますが、以下のような機器にセットされて持続注入されています。
TCIポンプ(target controlled infusion pump)といい、プロポフォールをセットして使います。controlled と書いてあるように、患者さんに投与するプロポフォールの薬物濃度をコントロールしてくれます。
蓄積しない持続注入、これが同じ静脈麻酔薬であるチオペンタールとの決定的な違いです。チオペンタールは短時間作用型のバルビツレートの薬剤で眠りが速く(作用発現が速く)、持続時間が短いというプロポフォールと同じ特徴を持っています。しかし、それは麻酔薬が急速に脳に移行し、他組織への移行が速いからであって、決して分解・排泄が速いからではありません。分解・排泄は遅いので蓄積作用があります。反復投与して大量になると、覚醒遅延が起きます。チオペンタールは現在ではほとんど使用されることはなくなりました。プロポフォールが蓄積しないのでチオペンタールを使っていたころに比べ安全に鎮静をかけられるようになったのは確かですが、ICU鎮静で長時間プロポフォールを投与された患者には稀に致死的合併症(プロポフォール注入症候群PRIS)が報告されています。よってTCIポンプを用いた投与は麻酔に限られています。
あえて、「眠らせる」という表現を使いましたが、麻酔には大きく分けて
- 鎮静
- 鎮痛
- 筋弛緩
の役割があります。プロポフォールやチオペンタールは主に鎮静目的で使われる麻酔薬です。導入後患者さんは応答しなくなり、あたかも眠ったように見えます。睡眠と異なる点はたくさんありますが、間違ってはいけないことは麻酔は深昏睡であるという点です。
つまり、呼吸が抑制されます。
プロポフォールで鎮静を確認したら手早く挿管し、呼吸管理をします。
プロポフォール(ディプリバン®) は俗にいう睡眠薬ではありません。正しい管理が必要です。有名なところでは、マイケルジャクソンはプロポフォール(ディプリバン®)を正しく使われなかった為に亡くなっています。
(麻酔科医に聞いた所、プロポフォールは呼吸抑制はありますが、厳密に言えば単体かつ少量なら「眠らせる」ことは可能で、手術などでは主に鎮痛の役割を担う麻薬性鎮痛薬による呼吸抑制の影響の方が大きいとのことです。)
全身麻酔 = 眠らせるではなく、全身麻酔 = 人工呼吸管理が必要 = 呼吸抑制 までおさえていてください。
ここで問題です。全身麻酔導入前に必ず投与すべきものがあります。それは何でしょうか?
それは酸素です。
酸素を事前に十分投与しなければ呼吸抑制後の酸素化が悪くなります。酸素を投与しながら、全身麻酔導入し呼吸抑制が見られたらすぐに人工呼吸、そして気管挿管をする流れをイメージすれば覚えやすいのではないでしょうか。事前に酸素を投与しておけば、挿管に猶予が生まれます。
プロポフォール(ディプリバン)は静脈麻酔ですが、全身麻酔の導入として他に吸入麻酔があります。吸入麻酔で導入するよりも、迅速で不快感も少なく静脈麻酔を使用することが多いです。
- 主に全身麻酔導入に使われる
- 作用発現が速く、持続時間が短く蓄積しないので持続注入が可能
- TCIポンプを用いた麻酔維持に使われる
など、プロポフォール(ディプリバン®)の特徴を見てきましたが、最後に付け加えると血管痛があること、禁忌患者(卵、大豆アレルギーの人。妊婦、授乳婦)は押さえておいてください。
なぜアレルギーがだめなのかはプロポフォールは大豆油、グリセロール、卵黄レシチンが溶媒として使われているからです。
画像引用先
画像1: wikipedia
画像2: TCI入門の入門