5%ブドウ糖液の目的と適応疾患

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目的

5%ブドウ糖液はどこに何を補充目的で輸液するのか?

これを理解できればもう悩むことはありません。

細胞内・細胞外に等しく水を補充する

だったら水だけ静注すればいいのでは?と思う人もいるかもしれません。

ブドウ糖が何故5%入っているのか?というと浸透圧の調整のためです。

<血漿浸透圧の式>
血漿浸透圧 = Na×2 + BS/18+ BUN/2.8
(BS:blood sugar) 
でしたね。もし、浸透圧ゼロのものを大量に入れたら浸透圧がぐんと下がって赤血球などの血球成分が膨張・破裂してしまいます。
しかし、浸透圧が調整されているといえど、ブドウ糖は血液の中に入るとすぐに代謝され、エネルギーとなって水と二酸化炭素に分解されます。電解質は入っていないので最終的には水だけが細胞外液に残り、細胞外液の浸透圧が下がります。細胞外液の浸透圧が下がることで、水が細胞内液へと移動します。そして、細胞内に2/3、細胞外に1/3の割合で分布されます。
5%ブドウ糖液は、細胞内と細胞外に水を補充するのに適しています

高Na血症をきたす病態に適応

では、どのような際の輸液に適しているのでしょうか?
ポイントは、"水"だけが不足しているときですね。水が抜けると血漿浸透圧が上昇し、浸透圧が等しくなるように細胞内から細胞外に水が移動します。最終的には細胞内外の水が等しい割合で抜けます。
えさきち
輸液では、電解質の量に着目しましょう。外液に近いものはより外液にとどまります。だから細胞外液の生理食塩水は外液に留まります。濃度が同じものを入れてもカサが増すだけです。濃度は変わらないからです。単純に細胞内液を最大限に増やそうと思ったら、細胞外液を薄くしてあげる、つまり電解質を全く含まないものを細胞外液に入れてあげれば良いのです。
くみちょう
電解質を含まないもの、それが5%ブドウ糖液なんだね!
ポイントは
本来、等しく細胞内外に分布する5%ブドウ糖液ですが、目的は
細胞内液の補充
であり、細胞内液がメインに減少する病態とは
高Na血症の病態
です。
話を戻しましょう。5%ブドウ糖液の適応
一つは高張性脱水です。高張性脱水では細胞内液の減少をきたします。
えさきち
一般に脱水といって思い浮かべるのはこの高張性脱水です。発汗過多などにより血管内から"水"が喪失した結果、濃縮し高Na血症を伴う脱水(高張性脱水)をきたします。
詳しくはこちらを御覧ください。
もうひとつ、例をあげると尿崩症です。尿崩症には中枢性尿崩症、腎性尿崩症がありますが、どちらもADHがうまく機能せず水の再吸収がうまくいっていない病態です。水の再吸収が阻害された結果、多尿になり血漿浸透圧の亢進と高Na血症を生じます。そのため喪失した細胞内液を補充する目的で5%ブドウ糖液が適応になります。
高Na血症は"水が足りない"結果起きるもので、先ほどの脱水と同じ理屈です。水の量を補正できれば高Na血症は改善します。(実際には輸液だけではなく、中枢性尿崩症ならばデスモプレシンなど他の治療を要します)
107B28

医師国家試験107B28

答えはaです。

c.の等張性脱水では、血管内のNa濃度が正常なので、外液に近い輸液を補充します。

ちなみに低血糖のときは

ちなみに、低血糖に対して、つまり糖を補充する目的で輸液する場合は成人の場合は50%ブドウ糖液、小児では25%ブドウ糖液の静注になります。

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