QT延長症候群(LQTS)は、QT時間が著明に延長し、TdP(多形性心室頻拍)を生じた場合は失神や突然死をきたす疾患。
LQTSには下記のものがあります。
- 遺伝性のものである先天性QT延長症候群
- 誘因がある後天性QT延長症候群
<先天性LQTS>
13個の原因遺伝子(LQT1~13)が同定されており、LQT1~3で全体の90%を占め、出生5000〜7000人に一人の頻度で見られる。
- Jervell-Lange-Nielsen症候群:常染色体劣性遺伝で聾唖(+)
- Romano-Ward症候群:常染色体優性遺伝で聾唖(-)
先天性QT延長症候群の治療薬はβ遮断薬
です。これと後天性QT延長症候群の原因を勉強していたら疑問に思うことが有りました。
後天性QT延長症候群ではβ遮断薬は徐脈を誘発するため禁忌なんです。同じLQTSでも先天性では治療薬になり得るのに、後天性では使えないんだ...。
話を戻しましょう。なぜ先天性QT延長症候群ではβ遮断薬が治療薬なのでしょうか。それは先天性QT延長症候群は
交感神経刺激(水泳、目覚まし時計のアラームなど)が頻拍発作の誘因と考えられているため
β遮断薬の良い適応となります。
<エピソード紹介>
【104A27】8歳の女児.学校のプールで泳いでいるときに突然意識を消失した.以前にも同様の出来事があった.父親が34歳で突然死しているが詳細は不明である【95G16】14歳の女子.生来健康であったが,本日午後,プールで水泳中に突然沈み,心肺蘇生術を受けながら救急車で搬送された.父親が45歳で突然死している
コメント
某アニメ映画のせいか、
遺伝性QT延長症候群のうち
・Jervell-Lange-Nielsen症候群:常染色体劣性遺伝で聾唖(+)
・Romano-Ward症候群:常染色体優性遺伝で聾唖(-)
という事項が重要に見えてきて、そろそろ111回医師国家試験辺りで出題されるのでは、と思えてきた今日この頃です。ちなみに私の大学の卒業試験では普通に出題されております。