3歳の小児が紫斑を主訴にやってきた。
多いものは
- 急性型のITP(特発性血小板減少性紫斑病)
- Schönlein-Henoch紫斑病
問診を進めると、2週間前に発熱があったという(先行感染の有無)
2つの疾患を比べてみる。
急性型のITP | Schönlein-Henoch紫斑病 | |
病態 | 抗血小板抗体による血小板の破壊 | 皮膚血管、糸球体にIgAとC3の沈着 |
先行感染 | 風疹が有名 | 溶連菌が多い |
症状 | 皮下出血
血尿 |
<trias>
皮膚症状(左右対称紫斑、血管浮腫) 関節痛(ヒザ) 腹部症状(腹痛、血便) ※triasの他に血尿もあり |
鑑別点 | 血小板数 ↓
凝固系正常 出血時間延長 |
血小板数 →
凝固系正常 |
その他 | 血小板結合抗体(PAIgG)の検出
幼児に生じるITPは急性型が多い 骨髄生検において巨核球の代償性の増加 多くは6ヶ月以内に自然治癒する |
Rumpel-Leede試験陽性(∵血管壁に脆弱性があるため)
紫斑は下腿、臀部、四肢伸側に出来ることが多い IgA腎症に類似した症状(血尿・蛋白尿を満たす。) ネフローゼ症候群発展することがある |
【89D13 抜粋】
3歳の女児.2週前に頸部から胸部にかけて淡紅色で斑状の発疹があるのに気付いた.微熱(37.6℃)があったが,元気なので放置していたところ発疹は2日ほどで消退した.今朝鼻出血があり止血しないため来院した.体幹と四肢とに皮下出血斑を認める.後頸部に径0.5cmほどのリンパ節を数個触知する.肝,脾は触れない.赤血球460万,Hb 12.8g/dL,Ht 38%,白血球9,000,血小板1.8万.CRP 0.04mg/dL.骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を次に示す.
幼弱な巨核球
↓
風疹の先行感染
血小板数の低下→出血症状(鼻出血、皮下出血)
後頚部リンパ節主徴は風疹に特徴的