血管性浮腫(Quincke浮腫)について

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血管性浮腫(Quincke浮腫 クインケ浮腫)は掻痒を伴わない限局性の浮腫が突然全身性に生じるもの。

【99G51】血管性浮腫(Quincke浮腫の病歴)

32歳の女性.四肢と顔面との浮腫と咽頭絞扼感とのため来院した.成人後に年に1,2回,四肢特に前腕部に浮腫が出現し4,5日で消失していた.最近浮腫の出現が頻回となり,今朝から顔面の浮腫,腹痛および咽頭絞扼感が出現した.意識は清明.身長152cm,体重41kg.体温36.1℃.脈拍60/分,整.血圧130/80mmHg.顔面浮腫状.眼瞼結膜に貧血はなく,眼球結膜に黄疸はない.頸部リンパ節腫脹はない.心雑音はなく,胸部でラ音を聴取しない.腹部に圧痛なく,肝を触知しない.両下腿に浮腫を認めるが,圧痕を残さない.圧痛と熱感とはない.尿所見:蛋白(-),潜血(-).血液所見:赤血球418万,Hb 12.2g/dL,白血球6,300,血小板18万.血清生化学所見:総蛋白6.7g/dL,アルブミン3.7g/dL,尿素窒素16mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,AST 25単位,ALT 35単位,LD 233単位(基準176~353).CRP 0.5mg/dL.胸部X線写真に異常を認めない

Pltは10万を切っておらず(肝硬変は否定的)、Alb 3.7 g/dLとネフローゼ症候群などによる低蛋白血症による浮腫は否定的。胸部X線で心陰影の拡大が無い、胸部聴診でラ音無し、このことからうっ血性心不全も否定的。

成人後に繰り返し浮腫を生じており、先天性が疑われる。場所も顔面、四肢、腸管、下腿など全身性に生じている。(腹痛は腸管浮腫による症状)

4,5日で消失していた。

圧痕を残さない(non-pitting edema)。これは通常の蕁麻疹と異なり深在性の浮腫であることを示唆する。

今回は咽頭絞扼感を自覚しており、これは咽頭浮腫を示唆する所見であり進行すれば気道閉塞の恐れがある→緊急性がup

血管性浮腫の原因には遺伝性(C1 inhibitor欠損症)と非遺伝性のもの(蕁麻疹と同様の発症機序、ACE阻害薬など)があります。ストレス、運動、感染、妊娠などが誘引となり突然に、眼瞼、口唇、四肢、咽頭、気道、消化管などに浮腫が出現します。

えさきち
突然、全身性、限局性がkeywordsです。全身性に小さな(限局性)の浮腫を生じるという意味です。

症例問題であったように浮腫以外の症候は次のように考えます。

咽頭浮腫→咽頭絞絞扼感

腸管浮腫→腹痛

【108G47】

60歳の男性.本日夕方からの下口唇の腫脹と軽度の呼吸困難を主訴に来院した.咽頭痛や嚥下時痛はない.高血圧がありアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬を服用中である.脈拍72/分.血圧130/80mmHg.呼吸15/分.SpO2 97%(room air)

ACE-Iは血管性浮腫の代表的薬剤

C1は補体の一種でC1の制御因子(inhibitor)が欠損することで補体の古典経路の活性化制御が不十分になりブラジキニンが過剰産生され血管透過性が亢進した結果、局所的な浮腫を生じます。ヒスタミンではなく、ブラジキニンであるため蕁麻疹と異なり掻痒を伴いません。また浮腫を生じる場所は真皮下層または皮下組織です。(深在性浮腫)。ですからnon-pitting edemaになります。

non-pitting edema といえば?

蕁麻疹によって生じる「膨疹」は真皮上層の一過性の浮腫(浅在性浮腫)です。

また古典経路が活性化し補体が消費されるため、低補体血症をきたす疾患としても有名です。

血管性浮腫(Quincke浮腫)

掻痒を伴わない限局性の浮腫が突然全身に生じる

通常は数分から数時間で消失する

深在性浮腫であるため非圧痕性浮腫

原因には遺伝性(C1 inhibitor欠損症)と非遺伝性のもの(ACE阻害薬など)がある

咽頭絞扼感を認めた場合は気道閉塞の恐れがある。

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