慢性炎症に伴う貧血ACDとは?
慢性的な炎症(慢性感染症、膠原病など)で貧血に陥る。これを
ACD:anemia of chronic disorder
という。
ACDは鉄欠乏性貧血との鑑別が重要
慢性炎症に伴う貧血(ACD)は小球性低色素性貧血を来すことが多く、鉄欠乏性貧血との鑑別が重要になる。
この2つの疾患はHbの材料である鉄不足問題があるから小球性低色素性貧血をきたすことは共通である。
ACD | 鉄欠乏性貧血 | |
原因 | 鉄不足(共通) | |
機序 | ヘプシジンによる鉄の利用障害 | 消化管出血・月経などによる鉄喪失 |
検査所見 | 血清鉄 ↓
TIBC ↓ 血清フェリチン↑ |
血清鉄↓
TIBC ↑ 血清フェリチン↓ |
ACDでは血清鉄↓なのにTIBC↓
血清鉄↓ならば TIBC↑(トランスフェリン↑なので)
※総鉄結合能 TIBC = 血清鉄 + トランスフェリン
しかし慢性炎症下ではトランスフェリンの産生が低下するので、あまのじゃくになります。トランスフェリンは反急性期反応蛋白であり、その濃度は炎症や悪性疾患が存在すると低値になるからです。
<血清鉄↓にも関わらずTIBC↓な疾患>
- 慢性疾患に伴う貧血ACD
- 無トランスフェリン血症
ACDのカギを握るヘプシジン
ヘプシジン(Hepcidin)は鉄過剰あるいは炎症時に肝臓での産生・放出が促進されるペプチドホルモンで鉄代謝を制御する唯一の因子と言われている。
ヘプシジンは炎症性サイトカインIL-6に呼応して分泌される。
慢性炎症
↓
IL-6 ダラダラ出続ける
↓
ヘプシジン産生促進
↓
赤血球産生抑制
↓
貧血
http://kumicho.asia/%E3%83%98%E3%83%97%E3%82%B7%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF-1586.html
【105F10 必】
鉄欠乏性貧血と二次性貧血との鑑別に有用なのはどれか?
・血清鉄
・網赤血球数
・血清フェリチン
・血清トランスフェリン