急性腎不全の透析導入基準について

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急性腎不全はその名の通り「急性」の腎不全です。BUN、Creが高ければ急性腎不全か?そうとは限らないですよね。簡単に言うとそれまで腎機能が正常だった人が急激に腎機能障害をきたすもので、治療によって回復します。(可逆性のある病態です。慢性腎臓病CKDとの違い)

えさきち
経過・病歴が大切です。

急性腎不全は障害部位によって

  • 腎前性
  • 腎性
  • 腎後性
に分類され、その原因を探り治療することは大切ですが致死的不整脈や心不全で亡くなっては元も子もないので、透析導入基準をしっかり覚えましょう。(致死率が50%と高い)

<急性腎不全の透析導入基準>

※保存的治療で高K血症、肺水腫、代謝性アシドーシスなどがコントロールできない場合に検討

臨床症状 <細胞外液過剰>肺水腫、心不全、心外膜炎など

<尿毒症>脳症(意識障害・羽ばたき振戦など)、出血傾向

乏尿、無尿期間 3日
高血圧 難治性高血圧
検査所見 K > 6mEq/L

HCO3- < 15 mEq/L (基準値 24±2)

BUN > 80mg/dLあるいは 10mg/dL/日以上の上昇

Cr >5mg/dL  あるいは 1mg/dL/日以上の上昇

中でも肺水腫、高K血症、代謝性アシドーシスは致死的なので早急に治療が必要です。

これらを認めたからといって必ず透析ではありません。保存的治療でコントロールがつかない場合に適応になります。高K血症の治療としてなどがあります。

  • グルコン酸カルシウムの静注
  • Kイオン交換樹脂の経口または注腸的投与
  • インスリングルコース療法(GI療法)

高K血症の補正をすれば通常はアシデミア(pH <7.2等)も解除されます(HCO3-が正常化)

まず保存的治療をおこなってそれでコントロールができなければ透析導入を行うようです。

えさきち
特に致死的な肺水腫(呼吸不全に)、高K血症(不整脈)、代謝性アシドーシスのコントロールがつかない場合は早期に透析導入します。

腎性の急性腎不全では一般に予後は悪く、保存的治療(水・電解質、栄養管理)をおこないながら腎機能の回復を待ち、必要と判断すれば早期に透析療法を導入します。

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透析導入基準

さて国家試験では次のような問題が出題されています。

【110E5】急性腎不全で血液透析を行うべき検査値はどれか.
a 血清尿酸10mg/dL
b 血清尿素窒素38mg/dL
c 血清カリウム7.0mEq/L
d 動脈血HCO3- 20mEq/L
e 血清クレアチニン1.8mg/dL

正答

【89D48 慢性腎不全における透析の適応】

48歳の男性.20歳ころから蛋白尿を指摘され近医で治療を受けていたが,血清クレアチニン値が徐々に上昇したので紹介され入院した.血圧170/96mmHg.眼球結膜に貧血と下腿に浮腫とを認める.血清生化学所見:尿素窒素98mg/dL,クレアチニン8.6mg/dL
この患者で緊急透析の適応とならない所見はどれか.
a 手が羽ばたくように不規則に動く.
b 左前胸部に心拍動と一致する摩擦音を聴取する.
c ヘマトクリット30%
d 血清カリウム7.2mEq/L
e 動脈血pH 7.15(自発呼吸,room air)

正答

尿毒症でもアステリキシスはでますね!

アステリキシス(羽ばたき振戦)を認めたときの鑑別疾患(肝性昏睡、尿毒症、肺性昏睡)
アステリキシスって?鑑別疾患 アステリキシスとは、従来「羽ばたき振戦」と呼ばれたものであるが、"振戦"ではないので現在ではアステリキシスと...
臨床実習の傍ら、Webサービスを運営している医学生。将来の夢は学校をつくること。琴線を記録するサービス kotonohaを製作しました。(俺、この戦争が終わったらスタートアップするんだ...)
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