二次性(続発性)の意味は、副腎皮質機能低下に副腎以外の「他の原因」があるということである。
副腎皮質機能低下とは、通常はコルチゾールの分泌低下を指す。
しかしながら、副腎皮質の機能低下はコルチゾールのみを指すことが多いことに注意しましょう。
二次性副腎皮質機能低下症の原因
- 下垂体のACTH分泌低下
- ステロイドの長期投与
下垂体のACTHの分泌低下には、
<下垂体性>
下垂体機能低下症(Sheehan症候群含む)、ACTH単独欠損症
<視床下部性>
腫瘍、肉芽腫、脳炎など
がある。
長期ステロイド投与は漸減が鉄則
臨床的に問題になるのはステロイドの長期投与である。
ステロイドホルモン投与により、上流であるACTHの分泌が抑制され2次性副腎機能低下症をきたす。ステロイドホルモンを急に中止したら、ACTH・コルチゾール分泌が直ちに回復しないため、副腎不全を起こす。
副腎不全を起こさないために、長期ステロイド投与は漸減が鉄則!
※漸減…(徐々に量を少なくして中止に向かう)
急性副腎不全(副腎クリーゼ)の治療
もし急性副腎不全を起こしてしまったら...体に以下の症状が出ます
【症状】
- 全身倦怠感
- 発熱
- 悪心嘔吐
- 腹痛
【電解質異常】
- 低血糖
- 低Na血症
- 高K血症
- 高Ca血症
循環血液量の維持ができないので低血圧になり、呼吸困難、ショック、意識障害を呈します。
アルドステロン(鉱質コルチコイド)の作用が「集合管でNa再吸収/K分泌」であると考えれば電解質異常や低血圧も理解しやすいですが、コルチゾール(糖質コルチコイド)にも鉱質コルチコイド様作用があるのでコルチゾールのみの低下でも同様の症状を呈します。
- 即効性グルココルチコイド(ヒドロコルチゾン)の静注(100mgを6時間毎)
- 輸液・電解質・低血糖補正→喪失した細胞外液輸液、20%ブドウ糖液など
※合成ステロイドは使用しない!!
【94F43】
50歳の女性.意識混濁で救急搬送されてきた.関節リウマチで2年前から,プレドニゾロン10mg/日を内服している.1週前から感冒のために食事がとれず,服薬を中止した.その後,全身倦怠感が次第に強くなってきた.脈拍98/分,整.血圧86/50mmHg.血液所見:赤血球380万,白血球3,300(好中球44%,好酸球17%,好塩基球2%,単球3%,リンパ球34%).血清生化学所見:血糖58mg/dL,総蛋白6.3g/dL,Na 124mEq/L,K 4.9mEq/L,Cl 91mEq/L,T3 75ng/dL(基準80~220),TSH 2.2μU/mL(基準0.2~4.0),CRP 3.2mg/dL.→プレドニゾロン(合成ステロイド)を2年前から内服。感冒イベントに加え、服薬を中止している。HR98>SBP86でショックを呈しており、低血糖BS58、低Na、高Kを呈してる。
この患者にまず投与すべき薬剤はどれか.3つ選べ.
a ヒドロコルチゾン
b スピロノラクトン
c トリヨードサイロニン
d 生理食塩液
e 20%ブドウ糖液
引用 http://pha.medicalonline.jp/img/cat_desc/MFd_table1.html