副腎皮質ステロイドには糖質コルチコイド(グルココルチコイド)、鉱質コルチコイド、副腎アンドロゲンがあり、このうち糖質コルチコイド(グルココルチコイド)に強力な抗炎症作用があります。そのため、治療として使われる薬のステロイドは一般に糖質コルチコイドの作用を強めたもので、炎症・アレルギーに対する対症療法薬として様々な疾患で使用される場面があります。人体で合成される糖質コルチコイド(コルチゾール cortisol)には鉱質コルチコイド作用もあるので副腎皮質不全に最適です。
<糖質コルチコイドの作用>
- 抗炎症作用
- 免疫抑制作用
- 代謝作用(糖新生亢進、蛋白異化、脂質合成促進)
- 鉱質コルチコイド様作用(Na再吸収、K排泄)
- 中枢神経作用(興奮性、躁うつ症状)
<副腎皮質ステロイドの副作用>
- 感染症
- 消化性潰瘍(胃潰瘍)
- 代謝障害(糖尿病、骨粗鬆症、脂質異常症)
- 精神症状(多幸、うつ、不眠、過食)
- 副腎皮質不全(ACTH↓、血清コルチゾール↓、血清K↑)
- 血栓、動脈硬化
- 高血圧
- 小児の成長抑制
- 月経異常
- 痤瘡、多毛、皮膚線条、酒さ様皮膚炎
- 白内障緑内障
- 大腿骨頭壊死
- ステロイドミオパチー(近位筋脱力)
【83A69】全身性エリテマトーデスの患者で,経過観察中に臨床像が変化した.投与中の副腎皮質ステロイド薬の減量が適切な場合はどれか.2つ選べ.
a ニューロパチーの出現
b タール便の排泄
c 細菌感染症の合併
d 尿蛋白の増加
e 尿糖の出現
【101B100】副腎皮質ステロイド薬大量投与でみられないのはどれか.
a 多毛
b 低身長
c 白内障
d 満月様顔貌
e 末梢神経障害