Bartter症候群を理解する!

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Bartter症候群は、ヘンレ係蹄脚上行脚の障害により二次性のRAA系亢進をきたし、低カリウム血症、代謝性アルカローシスをきたす新生児〜乳児の疾患です。

エッセンス

ヘンレ上行脚ではNa+-K+-2Cl-共輸送体を介して電解質の再吸収を行っています。Bartter症候群ではこのNa+-K+-2Cl-共輸送体系が障害されます。Na+、Cl-の再吸収が低下すると循環血漿量が減少するのでレニン分泌亢進 → 二次性アルドステロン症を呈します。

アルドステロン分泌が亢進しているので

  • 脱力発作、多尿(低K血症の症状)
  • 代謝性アルカローシス
を呈します。しかし原発性アルドステロン症と違い、高血圧はきたしません。

<エッセンス>

Bartter症候群 は二次性アルドステロン症なのに正常血圧

新生児〜乳児期に発症する疾患で、常染色体劣性遺伝です。(偽性Bartter症候群はループ利尿薬を長期使用するヒト、つまり大人)

治療は

  • スピロノラクトン、エプレレノン(抗アルドステロン薬)
  • カリウムの補充

です。他の治療薬としてインドメタシンがあります。(PGの合成阻害効果を期待してます)

それでは、Bartter症候群の理解を深めていきましょう!

ヘンレループ上行脚の障害

Bartter症候群はヘンレループ上行脚のNa+-K+-2Cl-共輸送体が障害される疾患でした
えさきち
ヘンレループは何をしているところでしょうか

ヘンレループには下行脚と上行脚があります。

  • 下行脚:濃度勾配(低張→高張)に従って"水"を再吸収(尿濃縮)
  • 上行脚:濃度勾配(高張→低張)に従って"Na+"の再吸収(尿希釈)

難しく思えそうですが、水とNaを抜いているので尿の総量が減少しています。なおかつ"拡散"(ヘンレループの"細い"上行脚)に加えNa+-K+-2Cl-共輸送体系(ヘンレループの太い上行脚)を介して"能動的"にNaを再吸収していますので、ヘンレループを抜け遠位尿細管に到達した尿は低張尿になります。

くみちょう
つまり、ヘンレループは尿の総量を減らして低張尿に変化させるところだね

低張尿(水に対してNaが少ない)ならば集合管で水の再吸収が調節できますね。

えさきち

ちなみに、利尿薬でこのNa+-K+-2Cl-共輸送体を阻害するのがループ利尿薬(フロセミド)だったね。ヘンレ"ループ"だから覚えやすいです。強力な利尿作用(Na利尿)を持ちます。

偽性Bartter症候群も合わせて理解しよう!

あくまで代償的なRAA系亢進(二次性アルドステロン症)

続発性アルドステロン症ともいいます。Bartter症候群は二次性アルドステロン症の一種です。

<血漿濃度>

  • レニン ↑
  • アルドステロン ↑
です。あくまで代償的な機構なので高血圧はきたしません。
原発性アルドステロン症との違い

ループ利尿薬の副作用と合わせて理解しよう

ループ利尿薬の副作用には

  • 低K血症
  • 代謝性アルカローシス
  • 低Ca血症
  • 低Mg血症
  • 低Cl血症
  • 高尿酸血症
があります。
えさきち
低K血症や高尿酸血症が元々存在する患者には使いません

Bartter症候群も機序は同じなので、ループ利尿薬の副作用を知っていれば、低K & 代謝性アルカローシスのセットは思い出せます。

【低Kに傾く簡易的な覚え方】

ループ、サイアザイド系利尿薬で低K血症に傾くのも、Na/K/2Cl共輸送体が阻害→尿中Na濃度が高いまま集合管に行き着く→NaとKの交換が亢進(アルドステロン作用亢進)→低K血症になると考えると覚えやすいのでオススメです

あくまで代償的な続発性アルドステロン症で高血圧はきたさないという知識と合わせて覚えることができます

注意して欲しいのは、Bartter症候群では低Mg血症はきたさないという点です(Gitelman症候群は低Mg血症)。

鑑別疾患 Gitelman症候群

Gitelman症候群は、Barter症候群と同様に

高血圧を伴わない二次性アルドステロン症
を呈する鑑別疾患です。アルドステロン亢進状態なので

低K血症 & 代謝性アルカローシスのセットも一緒です。

低Mg血症、著名な低Ca尿症が鑑別点です。

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