これで覚える!成人Still病

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成人Still病はJIAの全身型/Still型(若年性特発性関節炎)に類似した病態が16歳以上の成人に認められるもの

えさきち
JIAのStill型と成人Still病はとても良く似ており、年齢で区切られてると便宜上考えると覚えるのが楽です。
JIA(全身型/Still) 成人Still
好発年齢 小児(16歳未満) 16歳以上
関節外症状
  • スパイク型の弛張熱(高熱)
  • サーモンピンク皮疹
  • 肝脾腫
  • 全身のリンパ節腫大
  • 漿膜炎(胸膜炎、心膜炎)
血清フェリチン 著増
血清Rf 陰性
治療first NSAIDs

抵抗例はステロイド

ステロイド

(軽症例ではNSAIDsで済むが、多くの症例ではステロイドを要する)

えさきち
よく似ています。違うのは年齢と治療法くらいです。小児では成長抑制の副作用があるのでステロイドではなくてNSAIDs中心になります。

成人Stil病の分類基準にエッセンスが詰まってます(旧厚生省成人Still病研究班1992より)

【大項目】

  1. 発熱(39℃以上、1週間以上持続する弛張熱)
  2. 関節痛(2週間以上持続)
  3. サーモンピンク皮疹
  4. 80%異常の好中球増加を含む白血球増加(>10,000/mm3)

【小項目】

  1. 咽頭痛
  2. リンパ節腫脹あるいは脾腫
  3. RF(-)、抗核抗体(-)

【除外項目】

感染症、悪性腫瘍、膠原病

えさきち
関節炎に先行して高熱・皮疹を生じ、中々診断がつきにくい疾患です。

スパイク型の弛緩熱をみたら

  • SLE
  • 成人Still病
  • 血管炎
を考えます。その上で成人Still病らしいものをひろいながら除外していきます。

関節痛を伴いリウマチっぽい症状だけどRF(-)の疾患の代表格でした。

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その他、特徴的な血液所見として血清フェリチン著増があります。

それでは臨床問題を見てみましょう。

【93E6】

36歳の女性.数週持続する弛張熱を主訴に来院した.発熱に一致して体幹と四肢とに薄紅色の発疹を認め,両手首の関節炎頸部リンパ節腫脹および脾腫を同時に認める.赤沈100mm/1時間.血清フェリチン2,000ng/dL(基準20~120).CRP 9.6mg/dL

国家試験的には弛緩熱、血清フェリチン著増で診断はつく。

サーモンピンク皮疹は発熱時に認めることがポイント。

【106B52-54 抜粋】

72歳の女性.発熱と皮疹とを主訴に娘に伴われて来院した.
現病歴:1ヵ月前から上半身の皮疹と発熱とがみられるようになった.発熱とともに皮疹が出現し,解熱とともに皮疹が消失するということが連日繰り返された2週前から起床時に膝の痛みがあった.一昨日から発熱のピークが39℃を超えるようになったため受診した.

→主訴が関節痛ではないこともポイント。2週間遅れて起床時の膝の痛み。解熱と高熱(39℃以上)を繰り返すスパイク型の弛張熱。解熱とともに消失する皮疹

現 症:意識は清明.身長155cm,体重58kg.体温39.1℃.脈拍60/分,整.血圧162/70mmHg.呼吸数18/分.SpO2 96%(room air).皮膚は湿潤である.咽頭に発赤を認めない.眼瞼結膜は貧血様である.眼球結膜に黄染を認めない.前頸部から前胸部にかけて淡い紅斑を認める.右後頸部で無痛性のリンパ節腫脹を認める.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,右肋骨弓下に肝を3cm触知する.両側の膝関節に腫脹を認めない
検査所見:赤沈120mm/1時間.血液所見:赤血球368万,Hb 10.1g/dL,Ht 38%,白血球14,260,血小板41万.血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL,アルブミン2.9g/dL,尿素窒素7.0mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,尿酸7.2mg/dL,総コレステロール226mg/dL,トリグリセリド130mg/dL,総ビリルビン0.9mg/dL,AST 120IU/L,ALT 74IU/L,LD 776IU/L(基準176~353),ALP 630IU/L(基準115~359),γ-GTP 108IU/L(基準8~50),CK 21IU/L(基準30~140),Na 137mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 97mEq/L.フェリチン50,800ng/mL(基準20~120

→サーモンピンク皮疹、リンパ節腫脹、肝障害、WBC↑、血清フェリチン著増、貧血
免疫学所見:CRP 12mg/dL.HTLV-1抗体陰性,HIV抗体陰性,HA抗体陰性,HBs抗原・抗体陰性,HCV抗体陰性,EBV抗体陰性.リウマトイド因子〈RF〉陰性,抗核抗体20倍(基準20以下),可溶性IL-2受容体基準範囲内.胸部X線写真で心胸郭比50%.骨髄血塗沫染色標本で異常所見を認めない.胸腹部造影CTで頸部,鎖骨上,縦隔,傍大動脈領域および骨盤腔内に多数のリンパ節腫脹を認める.頸部リンパ節生検で悪性所見を認めない.

→ウイルス性肝炎や悪性リンパ腫なども否定的。リウマトイド因子陰性よりRAも否定的


[B052] この病態に特徴的な症候はどれか.
a 霧視
b 皮下結節
c 関節の変形
d 側頭動脈の硬結
e サーモンピンク疹

他の選択肢について
[B053] この患者の検査結果として予想されるのはどれか.
a 好中球の増加
b 血清ACEの高値
c 血清補体価の低下
d 異型リンパ球の増加
e 抗好中球細胞質抗体価の高値

→分類基準にあるように「好中球増加を含む白血球増加」がポイントです
[B054] 現時点の対応として最も適切なのはどれか.
a クーリング
b 肝庇護薬の投与
c 経口抗菌薬の投与
d 副腎皮質ステロイドの投与
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の投与

NSAIDsではダメ?

成人Still病まとめ
  • 16歳以上
  • スパイク型の弛張熱(高熱)
  • サーモンピンク皮疹
  • 好中球増加を含む白血球増加
  • 肝脾腫
  • 全身のリンパ節腫大
  • 漿膜炎(胸膜炎、心膜炎)
  • 血清フェリチン著増
  • リウマトイド因子陰性
  • 咽頭炎
  • 治療の第一選択はステロイド
  • 関節炎に先行する高熱・皮疹
  • 皮疹は発熱時に出現し、解熱とともに消退
リウマトイド因子陽性になるもの、陰性になるもの
<リウマトイド因子陽性になるもの> <リウマトイド因子陰性になるもの>

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