リウマチ熱(RF:rheumatic fever)はA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染に対する異常免疫応答の結果として生じる膠原病。
4〜17歳に多い。溶連菌感染後1~5週間後に、多発関節炎、心炎、皮下結節、輪状紅斑、舞踏病などの症状。
【94B90】リウマチ熱でみられるのはどれか.3つ選べ.
a 関節炎
b 心炎
c 多発単神経炎
d 溶血性貧血
e 輪状紅斑
【109D14】リウマチ熱の診断に有用でない所見はどれか.
a 皮下結節
b 舞踏運動
c 輪状紅斑
d 口腔内アフタ
e 多発性関節炎
多発関節炎は移動性で四肢の大関節(膝、肘、足など)から始まることが多く、関節変形はきしません。
心炎では僧帽弁が侵されることが多く、僧帽弁狭窄症(MS)を引き起こし、その他、心内膜炎、房室伝導抑制(PQ時間延長)を引き起こします。
治療は溶連菌に対してペニシリン投与、抗炎症作用としてアスピリン。
心内膜炎を併発した場合にはステロイドを使用します。
【96H63】リウマチ熱について正しいのはどれか.3つ選べ.
a A群溶連菌感染が原因となる.
b 弁膜症は三尖弁に好発する.
c 心電図でQT時間の延長がみられる.
d CRPは高値となる.
e ASOは高値となる.
JIA(若年性特発性関節炎)全身型との比較
若年(16歳未満)で多発関節炎、皮疹、発熱などリウマチ熱と似ている疾患にJIAの全身型があります。
<JIA若年性特発性関節炎とリウマチ熱の比較>
JIA全身型 | リウマチ熱 | |
原因 | 不明 | 溶連菌(ASO↑) |
3歳以下の発症 | あり | まれ |
熱型 | スパイク型の弛緩熱 | 稽留熱 |
経過 | 3ヶ月以上 | 3ヶ月以内に治癒 |
関節炎 | 小関節(指・肘・膝) | 大関節・移動性 |
皮疹 | サーモンピンク疹
(リウマトイド疹) |
輪状紅斑(体幹中心、消退と出現を繰り返す) |
特徴 | 肝脾腫
リンパ節腫脹 血清フェリチン著増 心外膜炎 |
心炎(心内膜炎、心外膜炎、弁膜症)PQ時間延長 |
治療 | NSAIDs、抵抗性にはステロイド | ペニシリン、アスピリン、ステロイド |
【85C4-6 抜粋】
7歳の女児.持続する発熱を主訴として来院した.
現病歴:10日前に38℃台の発熱があり,同時に紅色,斑状の発疹が主として躯幹に散在性に出現した.近医にて,じんま疹らしいと診断され投薬を受けた.発疹はその後出没していたが,3日ほどで消失した.しかし,37~39℃の発熱は持続し,膝や足の関節を痛がることがあった.この間,咳や鼻水が出るなどの症状はなかった.解熱傾向がないので来院した.
→7歳の皮疹、関節痛、持続する発熱(稽留熱)。皮疹が主に「体幹」中心に出現し、消失した。関節炎も「大関節」に生じている。カタル症状なし(ウイルス性の疾患ではなさそう)現 症:身長121cm,体重23kg.体温38.2℃.血圧122/68mmHg.脈拍102/分,整.全身状態は比較的よい.頸部に径5mmほどのリンパ節を左に2個,右に3個触知するが,圧痛はない.胸部聴診で心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する.呼吸音は正常で,ラ音はない.腹部触診で肝,脾および異常腫瘤を触れない.
検査所見:赤血球387万,Hb 10.8g/dL,Ht 32%,白血球11,800(好中性桿状核球32%,好中性分葉核球46%,好酸球2%,単球3%,リンパ球17%),網赤血球10‰,血小板35万.赤沈52mm/1時間,CRP 5+.→心尖部の収縮期雑音からリウマチ熱による弁膜症(MR)を引き起こしている可能性を考える。肝脾腫が無いことからもJIAらしくはない。
3日後,心尖部に3/6度の左方に放散する逆流性収縮期心雑音を聴取するようになり,次の検査所見を得た.血清IgM 82mg/dL(正常60~100),IgG 1,380mg/dL(正常900~1,200),IgA 120mg/dL(正常100~250),ASO 500単位(正常166以下),抗核抗体陰性,リウマトイド因子陰性,血清補体価CH50 36単位(正常30~40).血液培養は陰性であった.
この患児にまず使用すべき薬剤はどれか.2つ選べ.
a アザチオプリン
b ペニシリン
c 副腎皮質ステロイド薬
d アスピリン
e 金製剤
【86B58】
若年性特発性関節炎よりもリウマチ熱を示唆するのはどれか
a 指の関節炎
b リウマトイド疹
c 心内膜炎
d 虹彩炎
e CRP強陽性