Streptococcus(連鎖球菌)の中でも、A群β溶血性連鎖球菌は
- 丹毒
- 急性咽頭炎/急性扁桃炎(飛沫感染)
- 伝染性膿痂疹(他、ブドウ球菌も原因になる。こちらは接触感染)
- 壊死性筋膜炎
- リウマチ熱(RF)
- 掌蹠膿疱症
- 溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN 溶連菌感染後、咽頭炎の症状がおさまった約2週間後に発症)
- 猩紅熱
など様々な疾患を引き起こします。
機序 | 疾患 |
感染 | 咽頭扁桃炎、壊死性筋膜炎、伝染性膿痂疹 |
外毒素 | 丹毒、猩紅熱 |
感染後の免疫反応 | PSAGN、RF、掌蹠膿疱症 |
連鎖球菌の中でも一番感染症を引き起こしやすく、溶連菌といえば一般には"A群β溶血性連鎖球菌"を指します。また化膿レンサ球菌とも言います。ですので
溶連菌(俗称) = 化膿レンサ球菌 = A群β溶血性連鎖球菌
ですね
英語名は
です。
ストレプトコッカス・ピオゲネス
ヒトの咽頭、皮膚、腸管などに存在する常在菌で、グラム陽性球菌です。また通性嫌気性菌です。
幼稚園生が移しあって咽頭・扁桃が真っ赤に腫れるように飛沫感染します
え、でも嫌気性菌でしょ?空気に触れたら死ぬんじゃ?
それは腸内細菌のような嫌気性菌の中でも偏性嫌気性菌と呼ばれる菌だよ。通性嫌気性菌は酸素があってもなくても繁殖できる菌!だから表皮、咽頭など空気に触れるところでも腸管のような嫌気的な環境でも生きていけるんだね
前述のとおり咽頭炎、扁桃炎が有名で咽頭迅速キットで診断可能です。
急性咽頭炎における迅速抗原テストの感度は80~90%、特異度は95%以上とされます。
急性糸球体腎炎(AGN)などの合併があり、十分なペニシリン系抗菌薬による速やかな治療が必要です。ペニシリンアレルギーが有る場合はマクロライド系で代用します。
また壊死性筋膜炎は劇症型溶連菌感染症と呼ばれ、死亡率は30%になるとも言われます。
【103B8】
A群レンサ球菌感染に続発するのはどれか.2つ選べ.
a 川崎病
b リウマチ熱
c 急性糸球体腎炎
d 若年性関節リウマチ
e 全身性エリテマトーデス〈SLE〉
【99A53】
10歳の男児.発熱と咽頭痛とを主訴に来院した.3日前から39℃の発熱と咽頭痛とがあった.体温39.2℃.脈拍92/分,整.発疹はない.心雑音はない.関節腫脹を認めない.イチゴ舌を認める.咽頭粘膜は発赤し,点状出血斑がある.両側口蓋扁桃に黄白色の滲出物が付着している.尿所見:蛋白(-),糖(-),潜血(-).血液所見:赤血球480万,Hb 12.5g/dL,Ht 41%,白血球11,000(桿状核好中球16%,分葉核好中球56%,好酸球2%,リンパ球26%),血小板30万.CRP 6.5mg/dL.咽頭培養:Streptococcus pyogenes 2+.
この疾患に続発するのはどれか.2つ選べ.
a 川崎病
b リウマチ熱
c 急性糸球体腎炎
d 若年性特発性関節炎
e 全身性エリテマトーデス
【103D19】
多臓器不全を併発する劇症型壊死性筋膜炎の起炎菌はどれか
a バクテロイデス属菌
b クレブシエラ属菌
c 黄色ブドウ球菌
d A群レンサ球菌
e 腸球菌