自己免疫性肝炎って?紛らわしい抗体の覚え方まで
中年女性に好発する自己免疫性機序が関与する慢性活動性肝炎。
多くは無症候性で、潜在性・慢性に経過し無治療なら早期に肝硬変に移行します。
持続性・反復性にAST,ALT↑を認め、γグロブリンの増加も特徴的です。
ですから、障害は肝細胞メインであることに注意しましょう。(ALP、γ-GTPなど胆道系酵素は→)
γグロブリンの分画はIgGです。
臨床問題で提示されるTTT,ZTTは血症膠質反応と呼ばれ、血清中にγグロブリンが増加すると混濁し(混濁度↑)、アルブミンが増加すると抑制されるというもの。γグロブリンが増加するAIHではTTT,ZTT共に↑
自己抗体を絶対に覚えよう!ゴロ紹介!
よく国家試験に問われるのは自己抗体です。鑑別疾患/合併疾患であるPBC(抗ミトコンドリア抗体)と合わせて紛らわしいところです。
覚え方は
時間カツカツで合格!PBCのミトコ
<AIH>
時間(自己免疫性肝炎→自・肝)
カツカツ(抗平滑筋抗体)
合格!(抗核抗体)
<PBC>
PBC(public broadcasting caster) 公共放送のキャスター
ミトコ:抗ミトコンドリア抗体
即興で考えたのでいい覚え方あれば教えて下さい
<他の覚え方 医ンプットより>
【100F29】
45歳の女性.会社の健康診断で2年連続して肝障害を指摘され来院した.飲酒はしない.身長158cm,体重46kg.腹部所見に異常はなく,肝も触知しない.血清生化学所見:空腹時血糖86mg/dL,総蛋白7.6g/dL,ZTT 19.2単位(基準4.0~14.5),AST 62単位,ALT 106単位,ALP 200単位(基準260以下),γ-GTP 35単位(基準8~50)
診断に有用な自己抗体はどれか.2つ選べ.
a 抗核抗体
b 抗ENA抗体
c 抗Jo-1抗体
d 抗平滑筋抗体
e 抗ミトコンドリア抗体
↓
時間カツカツで合格!
中年女性、慢性の肝障害、AST,ALT↑、ZTT↑(γグロブリン↑を示唆)、ALP&γ-GTPは→。
【109A36】
48歳の女性.昨年と今年の健康診断にて肝機能障害を指摘されて来院した.発熱と腹痛とはない.飲酒歴はない.常用している薬剤や栄養機能食品はない.身長159cm,体重49kg.体温36.4℃.脈拍60/分.血圧110/62mmHg.眼球結膜に黄染を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.血液所見:赤血球432万,Hb 14.0g/dL,Ht 40%,白血球3,500,血小板18万.血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL,アルブミン4.0g/dL,総ビリルビン0.6mg/dL,AST 101IU/L,ALT 89IU/L,γ-GTP 51IU/L(基準8~50),ALP 298IU/L(基準115~359),IgG 2,710mg/dL(基準960~1,960),IgM 99mg/dL(基準65~350).免疫血清学所見:HBs抗原(-),HBs抗体(-),HBc抗体(-),HCV抗体(-).
診断に最も有用なのはどれか.
a 抗DNA抗体
b 抗平滑筋抗体
c 抗カルジオリピン抗体
d 抗ミトコンドリア抗体
e 抗甲状腺ペルオキシダーゼ〈TPO〉抗体↓
中年女性。慢性に経過している肝機能障害。AST,ALT、IgG↑を認め、ALPは→。ウイルス性肝炎も否定的で。Pltが10万以上あり、T.Bilも正常値であることからまだ肝硬変には至っていない。
↓
AIH。時間カツカツで合格
↓
b 抗平滑筋抗体が正解
【92A67】
疾患と自己抗体との組合せで正しいのはどれか.2つ選べ.
a 潰瘍性大腸炎 - 抗ミクロゾーム抗体
b Crohn病 - 抗内因子抗体
c 自己免疫性肝炎 - 抗核抗体
d 原発性胆汁性肝硬変 - 抗ミトコンドリア抗体
e 原発性硬化性胆管炎 - 抗リン脂質抗体
治療は副腎皮質ステロイドの長期投与
【87E22】
50歳の女性.6年前から慢性活動性肝炎の診断を受けている.最近,多関節痛,発熱を認めるため入院した.血清生化学所見:AST 180単位,ALT 250単位,ZTT 19(正常14以下),IgG 3.0g/dL(正常1.6以下).HBs抗原陰性,HCV抗体陰性,抗核抗体陽性,抗ミトコンドリア抗体陰性.
まず使用すべき治療薬はどれか.
a インターフェロン
b 6-メルカプトプリン
c プレドニゾロン
d D-ペニシラミン
e グリチルリチン↓
PBCのミトコは陰性
ウイルス性肝炎でもないのに「IgGが異常高値+抗核抗体」の時点で自己免疫性肝炎を考える
【93B42】
自己免疫性肝炎で正しいのはどれか.2つ選べ.
a 中年男性に好発する.
b HCV抗体陽性である.
c 肝炎は活動性である.
d 腎炎の合併頻度は低い.
e 副腎皮質ステロイド薬は無効である.↓
中年女性。自己免疫の機序であり、肝炎ウイルスと因果はないと考えられている。
自己免疫性肝炎は様々な合併症を引き起こすが、腎炎の合併の頻度は低い。肝疾患→腎といえばHBV(キャリア/肝炎どちらも)で膜性腎症、C型肝炎で膜性増殖性糸球体腎炎が有名。
第一選択はステロイド。減量するためにウルソデオキシコール酸を併用する。
【98H36】
自己免疫性肝炎の検査所見として考えにくいのはどれか.
a 総ビリルビン - 3.6mg/dL
b AST - 640単位
c ALP - 978単位(基準260以下)
d γ-グロブリン - 35%
e 抗核抗体 - 陽性
自己免疫性肝炎まとめ |
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