ツ反は何を見ているか?
ツ反はツベルクリン反応検査のことで、結核菌の培養濾液から生成した抗原(PPD:Purified Protein Derivative)を皮内投与し、48時間後に接種部位の発赤等を測定して感染を診断する方法である。
通常、皮内注射は即時型アレルギー(約15分後に反応を観察)の検査に用いられるが、ツ反の注射液は皮内注射が原則である。
ツ反陽性になるとき
PPDは数百種類もの異なる蛋白質を含むため、その多くがBCGや環境中の抗酸菌と高い類似性を示すため、
- 結核菌感染
- 非結核性抗酸菌感染の既往があるとき
- BCG接種済のとき
このように結核菌感染に特異的な検査ではないが、100年来の検査である。
検査についてはこちら。
話は戻るが、ツ反では陽性になれば
細胞性免疫が正しく機能しているかを診ることが出来る。
ツ反陰転化とは?
ツ反陰転化とは従来ツベルクリン反応陽性だった人が陰性化すること。
ツ反は細胞性免疫が正しく機能しているかをみる検査であるから、ツ反陰転化とは
細胞性免疫の低下
を意味する。
ツ反陰転化する疾患や状態
- 粟粒結核
- 結核感染初期
- 急性期の麻疹
- サルコイドーシス
- 過敏性肺炎
- 細胞性免疫低下状態(悪性リンパ腫、HIV、糖尿病、ステロイド・免疫抑制剤内服中、高齢者、小児)
- 栄養障害(低アルブミン血症、高齢者)
これらは基本的に細胞性免疫免疫が低下した状態である。
肉芽腫を作るもの
結核、サルコイドーシス、過敏性肺炎の共通点は肉芽腫を作ることである。
サルコイドーシスは何らかの感染(アクネ菌と言われている)に続発する過剰免疫反応の結果、全身に肉芽腫を形成すると言われており、過敏性肺炎はトリコスポロンなどの抗原に長期間曝露されることにより感作されたアレルギー反応(Ⅲ型アレルギーやⅣ型アレルギー関与)で肉芽腫を形成する。
粟粒結核や結核は細胞性免疫が低下した時に再燃する
粟粒結核はそもそも
- 小児
- 高齢者
- 免疫不全状態の人
結核は肉芽腫で閉じ込められても生き残っている場合があり、感染から長期間経過後に細胞性免疫が低下した時(主に高齢者)に、発病する事が多く二次結核という。
これらの知識と合わせて覚えれば、ツ反陰転化をきたす疾患として結核は容易に想起できる。
【82B39】
ツベルクリン反応が陰性化するのはどれか.3つ選べ.
a アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
b Goodpasture症候群
c 麻疹
d 過敏性肺臓炎
e Hodgkin病