※従来、Wegener肉芽腫と言われていた疾患は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と名称を変更しました。
GPA: granulomatosis with polyangitis
GPA(Wegener肉芽腫)のエッセンス
疾患名にエッセンスが詰まっています。
granulomatosis:肉芽腫症
with polyangitis: 多発(poly) 血管炎(angitis)に伴った
<エッセンス>
多発血管炎性肉芽腫症は壊死性血管炎 + 肉芽腫症
血管炎の背景に肉芽腫を形成することで様々な臓器に症状を呈します。
Wegener肉芽腫症はC-ANCA(PR3-ANCA)陽性血管炎だったね!
肉芽腫症がどこに形成されてどのような症状を呈するのかを抑えましょう。
<症状まとめ>
上気道症状 |
|
肺症状 | 血痰、咳嗽、呼吸困難 |
腎症状 | 血尿、蛋白尿、腎炎 |
血管炎 |
|
血管炎による症状は、想像できるとして鞍鼻、眼球突出など特徴的な肉芽腫による症状があり、まずは
- 上気道症状(鼻、眼)
- 肺
- 腎
【多発血管炎肉芽腫症のtrias】
- 難治性鼻炎、副鼻腔炎→上気道症状(膿性鼻汁、鼻閉、鼻出血)
- 肺の結節性病変→下気道症状(血痰、咳嗽、呼吸困難)
- 腎不全に至る腎炎→壊死性半月形成腎炎+急速進行性糸球体腎炎(浮腫、高血圧)
<症状の覚え方 ハナハジメ>
多くは上気道(鼻)→肺→腎の順に症状を呈することから、鼻が初めでハナハジメで覚えましょう。
ハナ: 鼻
ハ: 肺
ジ: 腎
メ: 眼
鼻
↓
肺
↓
腎
で覚えてもいいね!
エピソード例
46歳男性。(中高年男性)
3ヶ月前から、鼻閉塞、膿性鼻漏などの鼻炎症状が出現した(上気道症状)
1ヶ月前から37℃台の発熱と多関節痛が出現(血管炎)
5日前から咳と労作時の息切れを自覚(肺:下気道症状)したため、来院。
尿沈渣で赤血球円柱を認める(腎炎の存在)
血液検査で白血球↑、赤沈の亢進、CH50高値を認める。
予後
無治療の場合は予後不良である。ほとんどの場合、腎不全や感染症、呼吸不全で死亡する。
鞍鼻
鼻骨病変により鞍鼻がみられます。上気道の肉芽腫性病変が眼窩に及び,眼球が圧迫されると眼球突出がみられます。また、肺には空洞を伴った肉芽腫性病変がみられます。