CHADS2スコアは心房細動に抗凝固薬適用の基準になるスコア

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CHADS2スコアは心房細動患者に抗凝固薬適応するかどうかを決定する基準になるもの。

心房細動 af:atrial fibrillation

えさきち
心房細動の患者全員に抗凝固薬を使用しますか?
くみちょう
それは...
えさきち
そんな時指標になるのがCHADS2スコアです。

心房細動で抗凝固薬を使用する目的を考えてみよう

af では多数の無秩序な心房の興奮が生じ、一定のリズムで心臓が収縮できなくなる(rythem  不整)。その結果、af で左房内で生じた血栓を生じやすく脳や四肢に飛んで塞栓症を起こす。

心房細動で抗凝固薬を使用する目的は、血栓塞栓症を予防するためである。

心房細動の治療には、

  • 抗不整脈薬の投与(リズムコントロール 薬理学的除細動)
  • カルディオバージョン(同期下、抗不整脈薬不応例)
  • カテーテルアブレーション(待機的処置)
があるが、これらは経食道心エコーで血栓の存在を否定した上で行うものである。

心原性脳梗塞のリスクを有する患者では心房細動が48時間以上持続すると左房内(左心耳内)に血栓が形成されるといわれている.抗凝固療法が行われていない状況で抗不整脈薬やカルディオバージョンで除細動を行うと、洞調律復帰によって左房収縮が回復するため、左房内の血栓が左房内から剝がれ、左室→上行大動脈→脳動脈という経路を経て心原性脳梗塞を発症する可能性が高くなる。

持続が48時間以上の心房細動で,抗凝固療法が未施行で,経食道心エコーなどで血栓の存在が否定されていない例での薬理学的除細動や待機的直流除細動はClass Ⅲ(有益でない)

日本循環器学会のガイドライン

(48h未満であっても経食道心エコーで血栓の存在を否定することがあります)

えさきち
心原性脳塞栓症は脳梗塞の原因の約30%を占めます。大きい血栓が脳血管の根本を塞ぐので広範な梗塞を生じやすいことが特徴です。

CHADS2スコア

<CHADS2スコア>

C Congestive heart failure(うっ血性心不全) 1点
H Hypertension(高血圧) 1点
A Age(75歳以上) 1点
D Diabetes Mellitus(糖尿病) 1点
S2 Stroke/TIA(脳卒中または一過性脳虚血発作の既往) 2点
くみちょう
血栓症に関連のある因子ばかりだね

<CHADS2スコアによる脳卒中リスクの評価>

CHADS2スコア
脳卒中リスク
脳卒中発症
0
1.0%/年
1
低~中
1.5%/年
2
2.5%/年
3
5.0%/年
≧4
非常に高
>7.0%/年

CHADS2スコアによる抗凝固薬の選択

えさきち
まず弁膜症を有するか、有しないかが重要です。

弁膜症由来のaf であればワーファリンのみの適応になる。

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非弁膜症性af患者の抗凝固薬

<CHADS2スコア1点>

ダビガトラン(商品名:プラザキサ)、アピキサバン(商品名:エリキュース)

<CHADS2スコア2点以上>

ワーファリン + 新規経口抗凝固薬

icon-check-square-o ワーファリンとPT-INR

ワーファリンは

70歳未満: PT-INR 2.0〜3.0

70歳以上: PT-INR 1.6~2.6

となる用に投与量を調節する。

CHADS2スコア2点以上ならばワルファリン使用が推奨される。

新規経口抗凝固薬の中でもダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンはワーファリンと同等もしくはそれ以上の効果が示されたことからCHADS2スコア2点以上ではワーファリンと同様に推奨される。

弁膜症もしくは人工弁置換術後の患者の抗凝固薬

ワーファリンが推奨される(PT-INR 2.0~3.0目標)

抗凝固薬の種類と特徴

従来使われてきたワーファリンだけでなく、新規経口抗凝固薬として様々な薬が使われるようになってきた。

ワーファリン

ワーファリンはビタミンK阻害によってビタミンK依存性凝固因子の生成を抑制して抗凝固作用を示す。ワーファリン服用者はビタミンKを多く含む食べ物の摂取を制限する必要がある。

新規経口抗凝固薬

<直接的トロンビン阻害薬>

  • ダビガトラン(商品名:プラザキサ)

<第Xa因子(FXa)阻害薬>

  • リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)
  • アピキサバン(商品名:エリキュース)
  • エドキサバン

医師国家試験の問題

【109A31】
78歳の男性.動悸を主訴に来院した.3日前に家の片付けを行っていたところ動悸を初めて自覚した.動悸は突然始まり,脈がバラバラに乱れている感じで持続していたが,日常生活には影響しなかったので経過をみていた.本日になっても続くため心配になって受診した.特に易疲労感,呼吸困難感およびめまいなどは自覚していない.10年前から高血圧症で加療中.家族歴に特記すべきことはない.意識は清明.身長168cm,体重62kg.体温36.2℃.脈拍76/分,不整血圧152/90mmHg.呼吸数16/分.SpO2 98%(room air).Ⅰ音の強さが変化する.呼吸音に異常を認めない.血液所見:赤血球464万,Hb 14.0g/dL,Ht 42%,白血球6,800,血小板21万.血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL,アルブミン3.6g/dL,総ビリルビン0.9mg/dL,AST 26IU/L,ALT 18IU/L,LD 178IU/L(基準176~353),ALP 352IU/L(基準115~359),γ-GTP 42IU/L(基準8~50),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,Na 138mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 97mEq/L,TSH 0.8μU/mL(基準0.4~4.0),FT4 1.4ng/dL(基準0.8~1.8).胸部X線写真で心胸郭比48%,肺野に異常を認めない.心電図を次に示す.
まず行うべき対応はどれか.

109a031

クリックして拡大

a 経過観察
b 抗凝固薬投与
c 抗不整脈薬の静脈内投与
d カテーテルアブレーション
e 電気ショック(カルディオバージョン)

正答

臨床実習の傍ら、Webサービスを運営している医学生。将来の夢は学校をつくること。琴線を記録するサービス kotonohaを製作しました。(俺、この戦争が終わったらスタートアップするんだ...)
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