糖尿病の入院患者でインスリンを増量したにも関わらず早朝空腹時血糖の上昇が認められた。病院食以外に隠れて摂食している様子は無い。
早朝空腹時血糖が血糖が高くなる原因に下記のものがあります。
- 暁現象(Dawn phenomenon)
- ソモジー効果(Somogyi効果)
これらは主に1型糖尿病患者で問題なります。
暁現象について
暁現象(Dawn現象)は夜間午前3時頃にインスリン拮抗ホルモン(主にGH:成長ホルモン)が分泌されインスリン抵抗性が亢進し、早朝空腹時血糖FBGの上昇を認める現象です。
インスリン拮抗ホルモンの代表にはGCGCホルモンがあります。
- G:glucagon グルカゴン
- C:cortisol コルチゾール
- G:growth hormone 成長ホルモン
- C:Catecholamine カテコラミン
このうち成長ホルモンはグルコーゲン分解、糖新生のどちらにも働きインスリンに拮抗します。
インスリン分泌能が落ちている1型糖尿病患者では対応しきれず、高血糖を来します。
つまり暁現象は夜間のインスリンの量が少ないがために早朝空腹時血糖が高くなってしまう現象です。
ソモジー効果について
ソモジー効果(Somogyi effect)は、インスリン治療にて夕方や就寝前のインスリン量が多いため、夜間(就寝中)低血糖を来し、反応性にインスリン拮抗ホルモンが分泌され早朝空腹時血糖が上昇します。
つまりソモジー効果は、夜間のインスリン量が多いがために低血糖リバウンドで早朝空腹時血糖が上昇するというものです。
2つの鑑別点
ここまでをまとめてみましょう。
暁現象 | ソモジー効果 |
|
|
さてこの2つするにはどうすればよいでしょう?
ここで下記の図を見てください。
引用 year note2016 D-108より
午前3時の血糖に注目してください。
Dawn現象 | ソモジー効果 | |
午前3時の血糖 | 高い | 低い |
つまり午前3時頃の血糖値を測ればよいのです。
なぜ区別するのか
Dawn現象であれば、インスリンの量が足りていないということなので、インスリン量を増加する必要があります。
逆に、ソモジー効果ではインスリン量を減量する必要があります。
このように対応が真逆になるので早朝空腹時血糖が高いとき、不安定になるときは午前3時頃の血糖値を図ってみてDawn現象、ソモジー効果の区別をつけることが大切です。
インスリン拮抗ホルモンを4つ覚えよう!GCGCホルモン