Fischer比は分岐鎖アミノ酸(BCAA)と芳香族アミノ酸(AAA)の血中濃度比のこと。
Fischer比 = BCAA/AAA
BCAA: Branched Chain Amino Acids
AAA: Aromatic amino acid
BCAA(分岐鎖アミノ酸)には必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンがあり、AAA(芳香族アミノ酸)にはフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンなどがあります。
肝機能が落ちると分解しにくい芳香族アミノ酸の処理を後回しにするので血中濃度が上昇し、Fischer比は低下します。つまり、Fischer比は肝不全の指標になります。
なお劇症肝炎ではFischer比は低下しますが、Fischer液(分岐鎖アミノ酸製剤)の投与は行わない方が無難です。昔は、投与されていた歴史がありますが、有効性は確認できませんでした。分岐鎖アミノ酸を投与すれば、その分解産物であるアンモニアが生じます。劇症肝炎では、ただでさえアップアップなのでアンモニアを処理できず高アンモニア血症は増悪します。(この点は、尿素サイクルが不十分ながらも働いている慢性肝不全での治療と異なる)