Wiskott-Aldrich症候群は原発性免疫不全症の一つ。遺伝形式はX連鎖劣性遺伝でWAS蛋白の遺伝子異常。乳幼児に好発する。T・B細胞系免疫機能不全。
<Wiskott-Aldrich症候群の3徴>
- 血小板減少
- 易感染性
- 湿疹
<臨床症状のポイント>
- 難治性湿疹、皮膚真菌感染症
- 反復する細菌感染
- 出血傾向(血小板減少によるもの)
免疫不全症には様々な種類があり、それぞれの特徴をおさえることが鑑別に重要になります。Wiskcott-Aldrich症候群は易感染傾向に加え、全身の湿疹(アトピー)および血小板減少を呈するところがポイントです。免疫グロブリンのうちIgMは減少し、IgG、IgA、IgEは上昇または正常範囲内であることが多い。
1歳2ヶ月の男児。妊娠・分娩・新生児期に問題はなかった。生後3ヶ月頃から全身の湿疹が著明になり、しばしば全身の皮膚に真菌感染を繰り返している。1歳までに2回肺炎での入院歴が有り、難治性の中耳炎を起こしている。血液検査所見: Hb8.5 g/dL,WBC12,000,血小板 5.5万,白血球の形態異常は認めない。血液生化学所見:IgG 950 mg/dL(基準 460~1,220),IgA 520 mg/dL(基準 16~128),IgM 12 mg/dL(基準 57~260),IgE 350 IU/mL(基準 30),好中球遊走能、NBT還元能は正常。
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乳幼児(男児)に繰り返す感染エピソード、全身の湿疹、血小板減少
IgM↓、IgG→、IgA↑、IgE↑